ドル買い戻しも、クリスマス休暇を前にしたポジション調整が中心か=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って買い戻しが優勢となっており、103.70円付近まで一時上昇した。きょうの市場はややリスク回避的な雰囲気もみられ、ダウ平均が下げているほか、原油、米国債利回りも下げている。為替市場もリスク回避のドル買い戻しが出ているものとみられる。ただ、本格的なドル買いというよりも、週末のクリスマス休暇を前にしたポジション調整が中心と思われ、ドル安期待は依然として根強い状況に変化はない。
きのう米議会は追加経済対策を上下両院でスピード可決し、あとはトランプ大統領の署名待ちの状況。米国では依然として感染拡大が収束をみせない中で、米議会も対策の可決を急いだようだ。クリスマス前の成立が確実視される中で、ポジティブ・サプライズではあるものの、市場はすでに織り込んでいる。
ドル円は前日に104円手前まで上昇したが、上値を拒まれた。今回も104円手前では売りオーダーも並んでいるものと思われ、これ以上の上値は重そうな印象もある。
ドル円は先週以降、概ね102円台後半から104円台前半のレンジ取引に終始しており、方向感が一旦なくなっている。現在は、ちょうどそのレンジの中間地点で落ち着いている状況。市場の一部からはリスクに対する市場の意識の大きな変化があるまで、ドル円はレンジを抜け出せないとの指摘も聞かれる。先週の102円台への下落はドル売りが強まったことが要因だが、102円台に下落した後は急速に買い戻しが入っており、恐らくストップロスが102円台への下落を誘発した可能性が示唆されているという。
ドル円がレンジから下に抜け出すケースとしては、リスク回避の雰囲気が強まる必要があり、前日の英国でのウイルスの異変種の広がりでは材料不足だったという。一方、上に抜け出すケースとしては、恐らく強力な株高が必要と指摘した。下値サポートは先週安値の102.90円付近が意識され、上値は本日104円ちょうど付近に来ている21日線が意識されるという。
ユーロやポンドは対ドルで軟調。ユーロドルは1.21ドル台に値を落とし、ポンドドルは一時1.33ドルちょうど付近まで下落する場面がみられた。英国とEUによる貿易交渉は依然として合意を見いだせていない。英海域での漁業権を巡って双方は対立が続いている。
バルニエEU首席交渉官は、進展があるとEU加盟国大使らに報告した一方で、漁業権の相違は埋めることが難しいとも報告したという。EUは1月1日以降も英国との交渉を継続する用意があるとも伝わっており、クリスマス前の合意は望み薄となっている模様。英離脱は年末に期限を迎えるが、ぎりぎりまで双方はせめぎ合う可能性もあり、その場合は議会の承認は来年の離脱以降となる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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