ドル円は一時102円台に下落 米追加経済対策とFRBの慎重姿勢がドル安を支援=NY為替概況
きょうもNY為替市場はドル安が強まり、ドル円は一時102円台に下落した。米追加経済対策への期待の高まりと、FRBの慎重姿勢がドル安を支援し、ドル円を下押ししているものとみられる。
米追加経済対策については、超党派の協議が大詰めを迎えているようで、共和党のマコネル上院院内総務は本日中にも合意がある可能性に言及した。また、ホワイトハウスも48時間以内に合意する可能性に言及している。きょうも米株式市場でダウ平均が最高値に接近するなど好調な動きを続けており、為替市場ではリスク選好のドル安の流れとなっている模様。
一方、前日のFOMCでパウエルFRB議長は慎重姿勢を強調した。FOMCの内容次第では米10年債利回りが1%台に上昇するとの指摘もあったが、結局、利回りはその展開を見せていない。
足元の米感染拡大は過去最多に拡大しており、部分的な封鎖措置も導入されている中で、短期的には米景気は脆弱な状況が続くとみられている。半面、ワクチン接種も始まっており、景気は来年の下半期までには急速に回復するとのハッピーシナリオを市場は描いている。一方で、FRBはゼロ金利を当面維持することが予想されている状況。リスク選好と米低金利の長期化期待がドル安を加速させているようだ。
ユーロドルは上値追いが続き、1.2270ドル付近まで上値を伸ばした。本日の上げで、前日まで上値抵抗となっていた1.22ドルちょうどの水準を完全に突破。2018年4月以来の高値を更新しているが、上へのレベルシフトを予感させる展開が見られている。
市場の一部からは、来年は1.27ドルまでの上昇も期待できるとの見方も出ている。米追加経済対策とFRBの低金利長期化がドル安を支援し、英・EUの貿易交渉の合意、ワクチン、そして、EU復興基金がユーロ高を支援するという。
ポンドドルは終盤になって上げ幅を急速に縮小した。貿易交渉でフォンデアライエン欧州委員長との協議を終えたジョンソン英首相の発言に反応。首相は「EUとの交渉は深刻な状況。EUが立場を変えない限り合意なしの可能性が非常に強い」と述べていた。ただ、貿易交渉への期待感から、きょうのポンドドルは1.36ドル台まで上げ幅を拡大。バルニエEU首席交渉官は18日までに合意の可能性あると議会関係者に述べたと伝わっていた。
きょうは英中銀が金融政策委員会(MPC)の結果を公表。予想通りに政策金利、資産購入とも据え置きとなった。声明では「都市封鎖で第4四半期と第1四半期の景気は圧迫されるが、ワクチンが下振れリスクを減少させる」と述べている。ただ、ポンドの反応は限定的。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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