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とれんど捕物帳 市場の期待ほどハッピーシナリオか?

為替 

 今週の相場はドル安が一服している。ドルを買い戻す特段の材料は見当たらなかったものの、ここに来て来週のFOMCや年末のクリスマスに向けたポジション調整が出始めているのではといった印象だ。

 ドル円も104円台半ばに上昇し、21日線を回復。一部からは、下値では年末に向けたドル需要が入っているとの声も聞かれた。短期金融市場では今月に入って、年末に向けたドルの調達コストが上昇。大手銀が短期金融市場で、ドルの貸付けを縮小しており、年末にかけてドル需要がやや強まる可能性も指摘されていたようだ。ただ、大きなトレンド変換まではみておらず、一時的な動きとも予想される。

【2020年の回顧】
 さて、今年も残り少なくなったが、2020年の相場を簡単に振り返ってみる。多くのエコノミストやアナリストが「2020年はこうなる!」といった展望レポートを昨年末に出したであろう。果たして完璧に予想が当たった人がいるのだろうか。もし、いるとするならば、のんきにエコノミストやアナリストなんかをやっている場合ではなく、すぐに作家を目指すべきであろう。

 今年はパンデミックの一言に尽きる。映画の世界が現実に起きた印象だ。医療は混乱し、人々には外出制限がかけられた。当然のごとく経済活動はストップし、現代社会では経験をしたことながないほど景気は落ち込んだ。あまりの落ち込みに感覚が麻痺し、景気後退すら感じなかったかもしれない。

 ただ、市場にとって唯一の光明は、各国の中央銀行の対応が素晴らしかったことであろう。政府のほうも、公衆衛生面はともかく、大胆な経済対策を打ち出したものと思われる。特にFRBやECBの対応は見事だったのではないだろうか。実際、それは市場に如実に表れていて、これだけの大惨事にもかかわらず、大がかりなクレジット・クランチを引き起こしていない。リーマンショックなどこれまでの経験や反省がフルに活かされたのではなかったであろうか。

 人々の感覚はともかく、景気後退の長さは数字的には、通常1年~1年半といったところで、中央銀行もそれに合わせて利下げなどの金融緩和を段階的に実施する。しかし、今年はそれが4-6月期に一気に凝縮して来たという印象だ。自身は「超高速!景気後退」と位置付けている。7-9月期には回復の度合いはともかく、さすがに前期比でプラス成長を回復している。期待半分に逆の見方をすれば、景気後退期はすでに終わっており、いまは回復期に入っているともとれる。ダウ平均は3万ドルに乗せるなど、株式市場もその位置づけで動いているのではないだろうか。恐らく、上記の中央銀行のオペレーションがその意識を支えたのであろう。

 一方、為替市場はどうであっただろうか。パンデミック発生初期の3月には、急速にドル高が強まった。もちろん、米景気への先行き期待ではなく、リスク回避に伴うドル高である。しかし、ドル高が強まったのは3月のひと月だけで、それ以降ドルは一本調子の下げをみせている。

 もともとドルは過大評価が指摘されていたが、それでもパンデミック前まではドルは底堅い動きを見せていた。ECBや日銀が中々、マイナス金利政策から抜け出せない中で、ドルは唯一金利があったためであろう。しかし、パンデミックに伴うFRBの急速なゼロ金利政策復活で、その魅力が一気に失われ、もともとあった過大評価の修正が出ているものと思われる。FRBは景気支援をコミットする中で、2023年までは利上げはないと予想している。その状況下で、現在のドル安は来年も続くと見込んでいる向きが多いようだ。

【2021年の見通し】
 ここから来年の展望だが、毎年書いているが、この手の話はまともに当たった試しはない。今年は特にそうであっただろう。今年の相場のテーマは「パンデミック!」であっただろう。来年はどうか。恐らく「ワクチン!」となるのかもしれない。すっかり医学雑誌のようなテーマだが、致し方ない。

 巷では、「年前半は足元の感染拡大の影響で景気回復は鈍いものの、年後半にかけてワクチンが普及し、それに伴って景気回復も加速して行く」というシナリオを描いている市場関係者が多い。基本的にはハッピーシナリオだ。ダウ平均は3万ドル台をつけ過去最高値を更新しているが、そのシナリオを先取りしているのかもしれない。一部にはインフレ期待の高まりを予想する向きをおり、このところの米国債利回りは上昇している。

 果たして、いまの市場が期待しているほどのハッピー・シナリオになるのであろうか。個人的にはそうはならないとみている。ワクチンの普及については、いまのところ、接種に様子見を決めている人々も多い。市場が期待しているほど早期に普及するとまでは思われない。ただ、あるということが非常に重要で、人々のマインドが徐々に改善して行くは期待できそうだ。

 一方で、今年のパンデミックで特徴的だった1つに、巣ごもり消費やテレワークの普及があろう。来年は情勢改善と伴に巣ごもりの動きも鈍化が予想されるが、無くなることはないとみている。パンデミックが生活および、仕事のスタイルの大きなトレンド転換として、今後も定着して行くのではないかと考えられる。そうなると、人々の行動はパンデミック前のような状況には戻らないことが推測される。

 経済の最大の要素は個人消費だが、eコマースの利用割合は今年よりは低下するとみられるものの、パンデミック前と比較すれば、高水準のままで推移するのではと予想する。eコマースの場合、どうしても価格競争がポイントとなってしまうので、市場が見込んでいるほど、消費者物価およびインフレ期待は高まらないとみている。よって、景気回復は続くものの、市場の期待ほどの力強さはなく、緩い回復が1年を通じて続くシナリオを予想する。

 為替市場ではFRBの利上げ期待は高まらず、来年もドル安の流れは続くことが予想される。ドル高の局面があるとすれば、リスク回避のドル高であろう。今年もドル円は年足ベースで陰線で終わりそうだ。5年連続となる。今年のレンジは現段階で101.20円~112.20円といったところだ。やはりドル安を見込む中で、ドル円の積極的な上値追いのシナリオは描きづらい。

 よって、来年もドル円は上値の重い展開が想定され、年間のレンジとしては98.00円~108.00円を想定する。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 下げトレンド継続
短期 ↓(↓)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 上げトレンド継続
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◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑↑)

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年内の「とれんど捕物帳」はこれで配信を終了します。今年もありがとうございました。次回の配信は1月9日(土)の午前を予定しています。
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MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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