ドル円は一時103円台に下落 21日線を下放れる展開=NY為替概況
きょうのNY為替市場、NY時間に入ってドル円は再び売りが強まり、一時103円台に下落した。きのうまでは底堅さ見せ104円台を堅持し、21日線も上回っていたが、やはり上値抵抗は強かったようだ。きょうは米国債利回りも低下し、ドル円も歩調を合わせて下落していた。
しかし、終盤に入って米株式市場でダウ平均がプラスに転じたことや、米国債利回りが下げ幅を縮小したことが買い手掛かりとなり、104円ちょうど付近までは戻している。
FDAの諮問委員会が、ファイザーと独ビオンテックが開発したワクチンの緊急使用許可(EUA)の申請について協議し支持を表明した。FDAの正式決定待ちだが、諮問委員会が支持した場合は大半が承認されることから、数日以内にEUAを取得すると見られている。ワクチンは期待通りに米国で投与が開始されそうだ。
そのようなポジティブなニュースの一方で、米議会では追加経済対策の協議が依然として難航している。年内に成立させることができるか微妙との懸念も高まっているようだ。
年末に向けて市場も警戒感を高めつつあり、ドル円の重石となっているのかもしれない。きょうの下げで21日線を下放れる展開が見られている。目先は直近安値103.65円付近が下値メドとして意識。
ユーロドルは反落。市場は英国の「合意なき離脱」のリスクを高めており、ポンドドルに連れ安する格好でユーロドルも戻り売りを強めたようだ。ラガルドECB総裁は前日の理事会後の会見で、「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の枠を全て使い切る必要はない」と言及していた。この発言については、ECB内のタカ派の理事の支持を取り付けるために、但し書きとして入れたとの報道も流れていた。
一方、来年のユーロドルの上値期待は強い。ラガルド総裁は「ユーロはインフレにとって重要なファクターで、注視して見ている」と強調していたが、ユーロドルの上昇はあくまでドル安が最大の要因。市場の根強いドル安期待は来年も続くことが予想されている中、ECBがユーロ高をけん制しても、FRBが動かない限り、ユーロドルは押し上げられるとみているようだ。ただ、ECBがインフレ期待を測る目安として参照しているとされる5年物の5y5yインフレ期待指数のデータから推計すれば、ユーロドルの適正水準は1.19ドル台前半になり、現状はやや割高との指摘も出ている。
ポンドドルはNY時間に入って下げ渋ったものの、一時1.3135ドル付近まで急落。ポンド円も一時136円台まで下落する場面もみられた。英・EUの貿易交渉が土壇場に来て流動的になっており、フォンデアライエン欧州委員長はEU首脳に対して、「合意なしの公算が最も大きい」と発言していたことが伝わった。また、ジョンソン英首相も「合意なしのEU離脱に備えよ」と述べていたという。
ひとまず、13日の日曜日が期限となっているが、ここに来て楽観的に見ていた市場も非常に不安感を強めている模様。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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