ドル円は104円台前半で膠着 米経済対策と感染拡大の行方見守る=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は104円台前半での膠着が続いた。NY時間に入ってややドル買いが優勢となりドル円をサポートしている。ただ、リスク回避のドル買いではある。市場は米経済対策と感染拡大の行方を見守っている。
米与野党は包括的歳出法案と新型ウイルス支援の追加経済対策の両方で協議は難航しており。11日夜としていた期限を延長する方向で調整している。超党派から9080億ドル規模の追加経済対策が出ているが、州・地方自治体向け支援などでまだ妥協点を見出せていない。また、1.4兆ドル規模の包括的歳出法案についても対立しているようだ。現在の暫定予算が11日で期限切れとなるが、1週間のつなぎ予算を採決する見通し。
一方、米国での感染拡大は続いており、これまで1480万件超の症例が確認され、新規感染も7日間平均で過去最多を記録している。一部の州や都市では、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を強化する意向。クオモNY州知事は、外食を制限する可能性を示唆しており、「病院が臨界点に達した場合はより厳しい制限が課されるだろう」と述べていた。
目先の景気への不安感は高まっているものの、一方でワクチン普及による来年の景気への期待感も根強い。きょうはリスク回避のドル買いが出ているが、ドルの上値は依然として重い印象だ。
ドル円は前日と雰囲気に変化はなく、本日104.35円付近に来ている21日線の下での推移に留まる一方で、103円台に入ると買いオーダーも出ているようだ。
ユーロドルは1.21ドル台前半での上下動に終始。今月に入ってリスク選好のドル売りが一服して来ており、ユーロドルも次第に上値が重くなって来ている印象だ。一方で下押す動きまでは見られず、10日のECB理事会待ちといった雰囲気となっている。
今回のECB理事会は緩和拡大が確実視されている。ただ、中銀預金金利の深堀は見送られ、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の期間延長と規模拡大、そして、TLTRO(長期リファイナンスオペ)が見込まれている。PEPPについては規模が5000億ユーロ、期間は1年延長がコンセンサスとなっている模様。ただ、予想にはまだばらつきがある状況だ。
市場ではこれまでECB理事会を受けたユーロの反応は逆に買いとの見方も多かったが、売りとの見方も増えつつあるようだ。これまでのユーロドルの上昇は、ユーロ買いというよりはむしろ、ドル売りに伴う上昇の色彩が強かった。しかし、ここに来てドル売りへの過熱感も指摘される中、ECB理事会の内容次第では1.20ドル程度までの下げも予想されているようだ。
ポンドドルは1.33ドル台半ば、ポンド円は139円ちょうど付近での推移。英・EUの貿易協議は依然として難航しており、明日、フォンデアライエン欧州委員長とジョンソン英首相がブリュッセルで協議を再開する。
英政府が議会で審議中の国内市場法案から、国際法違反の条項を削除した。この条項は、合意なき離脱になった場合に北アイルランドとの貿易に関して、離脱協定の一部を覆す権限を英政府に与える条項で、EUから撤回するよう要請されていた。ジョンソン政権がこれを撤回したことで、協議に前進が見られるのではとの期待から、ポンドは買いで反応していたが、バルニエEU首席交渉官が「英国との合意可能性は極めて僅か」との発言や、ジョンソン英首相がけさの閣議で、「交渉が失敗したと認めるべき時が来るかもしれない」と警告していたことが伝わると警戒感も高まり、ポンドは上値を抑えられている。
しかし、基本的に市場は合意への期待を温存しており、ポンドは底堅い動きを続けている。ポンド円は一時138.40円付近まで下落し、21日線を下回ったものの、21日線付近まで戻している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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