ドル円は104円付近での推移続く 下値警戒感が一服も上値も重い=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は104円ちょうど付近での推移が続いた。米政府が中国による香港立法会(議会)民主派議員の議員資格剥奪を巡り、中国共産党の党員に制裁を科す準備を進めていると伝わったことで、米中対立への懸念が高まっている。その影響もありドル円は東京時間に103円台に下落していた。しかし、下値警戒感も一服して来ているようで103円台に入るとショートカバーも入り、104円台に戻す展開が見られている。NY時間に入って米政府は制裁を正式に発表。中国の全人代で役職を務める14人に資産凍結と渡航禁止の制裁を科した。
12月相場に入って、ドル売り圧力からドル円は103円台に値を落とすものの、底堅さも見せ始めている。ワクチンや米追加経済対策への期待などから、米インフレ期待が意識され始めており、米国債利回りが上昇している。それに伴いドル円も下値での押し目買いが出ているようだ。ドル安に過熱感が指摘されて始めていることも下値をサポートしているようだ。しかし、短期的な過熱感はともかく、来年のドル安期待は根強い。ドル円の上値が重いことも事実で、本日の21日線は104.45円付近に来ているが、いまのところその水準での上値抵抗は強いようだ。
目先の下値サポートは103.75円、上値レジスタンスは21日線の104.45円が意識される。
ユーロドルは1.21ドル台での推移。ロンドン時間に一時1.20ドル台に下落する場面も見られたものの、NY時間にかけて買い戻され、一時1.2165ドル近辺まで上昇する場面も見られた。ただ、先週から1.21ドル台後半は強い上値抵抗があるようで、1.22ドルを試す動きまでは、いまのところ見られていない。今週はECB理事会も予定されており、それに向けた調整の動きも出ているようだ。
市場にはこのところの急ピッチなドル安の動きでドル安への過熱感も指摘されている。ただ、あくまで短期的な動きで、ドル安はまだ続くとの見方は根強い。一般的に通貨安について話すときは、それが過小評価された水準へ下落した時が多いが、現在のドルは過大評価が修正されただけで過小評価はされていないという。来年のユーロドルは1.25ドルまで上昇とのシナリオが多いが、一部からは1.30ドルとの声も出始めているようだ。
きょうのポンドドルは迷走しており、ロンドン時間には1.32ドル台前半まで急落していたものの、NY時間に入って買い戻しが強まり、1.34ドル台まで戻す場面も見られた。
英・EUの貿易交渉が大詰めを迎えているが、進展がない。フォンデアライエン欧州委員長とジョンソン英首相が電話会議を行った。きょう中に進展なければ交渉打ち切りとの報道や、9日を合意期限との報道も流れていた。結局、合意はできなかったものの、協議は継続することで合意。ブリュッセルでフォンデアライエン欧州委員長とジョンソン英首相が直接面会して協議する模様。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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