ドル円は一時21日線まで戻す 月末のポジション調整が活発=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って下げ渋る動きが優勢となり104.40円付近まで戻した。東京、ロンドンと103円台に値を落としていたものの、NY時間に入って買い戻しが強まり、ロンドンフィキシングにかけて買いがさらに強まった。フィキシングを過ぎてもその流れは続いている。
ドル売りが一服した面もあるが、クロス円を含めて円安が出た模様。きょうの米株は大幅安となり、円安を誘発するような雰囲気ではなかったが、月末ということでポジション調整が活発に出たものと思われる。
今月は米株式市場でダウ平均が最高値を更新するなど、ワクチン開発やバイデン次期政権への期待で、市場は来年の景気に対して非常に楽観的になった。その雰囲気の中で11月相場は株高・ドル安が強まったが、月末に来てそのポジションの調整が出たものかもしれない。
足元は感染拡大が続いており、米感染研のファウチ所長は、「米国はパンデミックの厳しい時期に向かっている。移動への勧告が必要になるだろう」と述べていた。また、カリフォルニア州ロサンゼルス郡は感染が急増したため、再度、外出禁止令を課しており、目先の米景気への影響は警戒される。
ドル円は21日線が104.40円付近に来ており、その水準に顔合わせした。ただ、21日線を突破して上値を目指す雰囲気まではなく、そこからの上値抵抗は強そうだ。
調整色が強い展開の中、ユーロドルは序盤は買いが強まった。日本時間1時のロンドンフィキシングにかけて買いが強まり、1.20ドル台に一時上昇。1.20ドルはユーロ発足以来の概ね平均値で、ECBも注目している水準とも言われている。直近では9月初めに1.20ドル台に上昇していたが、ECB当局者のプレッシャーもありすぐに押し戻されていた。今回はどうか注目されたが、フィキシングを通過すると今度は一気にユーロ売りが強まり、ユーロドルは1.19ドル台前半まで押し戻されている。
やはり1.20ドルには慎重なようだが、市場のドル安期待は根強く、1.20ドルは通過点との見方は依然として多い。
ポンドドルも伸び悩む展開。ただ、1.34ドル手前で上値を抑えられているが、下押す動きまでなく上向きの流れは維持している。英・EUの貿易交渉が大詰めに来ている。最大の対立点となっている漁業権について、EUが英国に対して英水域を巡る同国の主権を正式に認める方向で、行き詰まりが近く打開される可能性があるとの報道も伝わっていた。EU側は来年1月1日以降に漁業権に関する移行期間を設定するという英国側の提案を受け入れたという。ただ、移行期間の長さや仕組みについて合意は成立していない。一方、別の報道では、EUは英国と合意できなかった場合に、水曜日または木曜日に緊急時対応計画を開始するとも伝わっていた。
市場は何らかの合意に達すると楽観的に見ているようだ。しかし、必要最低限の協定で合意した場合はポンドの上昇余地は限定的になるとの見方も出ている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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