ドル円に買い戻し ラガルド会見に驚きも=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って買い戻しが強まり、一時104.70円付近まで戻した。欧米で感染拡大が加速する中、景気の先行きに対する不透明感が強まっている。加えて、来週の米大統領選に向けたリスクも意識される中で、市場はリスク回避の雰囲気を強めている。
リスク回避のドル高・円高の中できょうもドル円は下値抵抗として意識される104円割れを試す展開が見られた。ただ、その水準ではショートカバーが活発に出たほか、米株式市場がIT・ハイテク株を中心に買い戻されたことから、円高の動きが一服し、今度はドル高がドル円を押し上げたようだ。ただ、あくまでショートカバーの範囲であり、105円台回復を積極的に試そうという雰囲気まではない。
朝方に第3四半期の米GDPが発表され、前期比年率換算で33.1%の上昇と予想を上回る内容となった。個人消費が40%上昇していた。第3四半期は企業の活動再開や雇用回復、政府の支援策、消費の回復が景気の追い風となった模様。パンデミック前の9割以上を回復した印象だが、市場の反応は鈍い。感染第3波が米国を襲う中で、すでに市場は第4四半期の動向に関心が集中しており、第3四半期の回復はさほど重要視していないようだ。
ユーロドルは売りが続き、1.16ドル台半ばまで一時値を落した。きょうの下げで21日線を完全に下放れる展開を見せており、本日1.1650ドル付近に来ている100日線に顔合わせしている。その下は9月安値の1.16ドル台前半が下値サポートなりそうだ。
きょうはECB理事会が開催され、政策は据え置きとなったが、声明では12月の追加緩和の可能性を滲ませていた。ただ、それ自体は大方の予想通りだったとも言える。むしろ驚きだったのはラガルドECB総裁が理事会後の会見であろう。総裁は「ECBが12月に行動することにほぼ疑いない」と述べていた。総裁の口からこれほど明確に示されたことはさすがに驚きを隠せず、ユーロ売りに繋がったものと思われる。総裁はまた、「12月までの間に手をこまねいていることはしない」と述べ、購入を加速させることもあり得ると示唆。「緊急に会合を開く必要が生じれば、そうするだろう。その用意はできている」とも語った。市場では12月の理事会前の追加緩和の可能性も織り込まざるを得なくなっていたようだ。
ポンドドルは戻り売りが強まり、前日サポートされた1.29ドル台前半の水準をブレイクし、一時1.28ドル台に下落する場面も見られた。きょうの下げで21日線を下放れる動きが見られており、明日以降の動きが警戒される。目先は1.2870ドル付近に100日線が来ており、下値メドとして意識されそうだ。
来週は英中銀が英中銀金融政策委員会(MPC)を開催する。今回は金融政策報告(以前の四半期インフレ報告)も発表され、経済見通しが公表されるが、成長見通しを下方修正してくる可能性が高く、それに伴って英中銀は資産購入プログラムの拡大を打ち出すものと見込まれているようだ。1000億ポンドの資産購入枠の拡大が有力視されている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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