トルコリラ円堅調地合い、昨日の予想外の利上げ後の流れが継続=東京為替
昨日トルコ中銀金融政策理事会は約2年ぶりとなる利上げに踏み切り、政策金利である1週間物レポ金利をそれまでの8.25%から10.25%に2%ポイント引き上げた。
トルコは高インフレ対策で2018年5月にそれまでの8%から断続的に大幅利上げを実施し、同年9月に24%まで金利が引き上げられた。その後は同水準での推移が続いていたが、高金利が物価高を招くという持論を持つエルドアン大統領が低金利志向を強める中で、2019年7月に当時のチェティンカヤ総裁を解任。後を継いだウイサル現総裁(当時の副総裁から昇格)の下で同月から2020年5月まで9会合連続で利下げを実施。政策金利は8.25%まで引き下げられた。
ただ、トルコのインフレ率は直近8月分で11.77%と政策金利水準を大きく上回っており、政策金利は実質ベースでマイナス金利という状況が続いていた。通常では利上げ期待が強まる状況だが、エルドアン大統領が低金利志向を続けていること、前総裁の解任にみられるように大統領の権限が強く、中銀としても意向に反した政策がとりにくいこともあって、6月から3会合連続で金利は据え置かれていた。前回8月の会合後にトルコ中銀は流動性供給に際して政策金利ではなく、上限金利である貸出金利9.75%を適用し、金融引き締めに踏み切っていたが、今回の会合でも利上げは見送られるという見方が大勢であった。
しかし、リラ安が輸入物価の上昇などを通じて物価を引き上げる状況が続く中、リラ相場を安定させることもできず、今回利上げに踏み切ったと見られる。
この結果リラ買いの動きが強まり、リラ円は13円65銭近辺から13円90銭台まで一時上昇。その後は13円80銭前後での推移と堅調地合いを維持している。ドルリラは利上げ前に7.72台を付けて連日のようにドルリラの史上最高値を更新する流れが継続していたが、利上げを受けて7.55近辺まで急落。さすがに少し戻すも7.62前後での推移と一時よりドル安リラ高の水準に。
ただ、今後については不安感も。実質金利が依然マイナスなこと、政府と中銀との関係悪化が懸念される中、もう一段の利上げは難しいという認識が強いことなどがリラの重石に。リラ安防衛のための介入についても、外貨準備への懸念が見られ、効果が限定的にとどまるとみられている。今後再びのリラ安進行に要注意。
MINKABU PRESS 山岡和雅
執筆者 : MINKABU PRESS
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