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とれんど捕物帳 リーマンショック後のFRBを思い起こしてみると

為替 

 今週はFOMCを通じて、各通貨ペアごとにポジション調整が入ったという印象だ。ユーロは過去最大に積み上がっていたロングポジションが整理された一方で、ポンドドルは先週の売りからの買い戻しが入っていた印象。そして、ドル円はドル売りというよりもむしろ、円高がドル円を圧迫し、心理的節目の105円を割り込ませている。ユーロ円の下げが影響した面も強かったように思われる。

 ドル安の流れの中でドル円は上値が重かったものの、ユーロ円を中心に8月までクロス円は力強い動きを続けていた。ドル円の動きの割には円ショートは意外に積み上がっていたものと思われる。9月に入って株式市場の調整に歩調を合わせる形で、円ショートの調整も出たのかもしれない。

 そのFOMCだが、一言で言えば大方の予想通りということになるのであろう。注目だったのは、FOMCメンバーの金利見通し(ドット・プロット)で2023年末まで現在のゼロ金利が続くと見ているメンバーが17人中13人だったことであろう。見通しの通りであれば、あと3年以上はゼロ金利政策を据え置くということになる。インフレが目標である2%を超えることも、ある程度許容する姿勢を示した。指針の枠組み見直しに関しては、直接的な言及はなかったものの、これまでよりも柔軟性をもたせ、低金利の長期化見通しを強調する姿勢を滲ませた。雇用を始め、足元の経済指標は回復を示しているにもかかわらず、FRBはかなり慎重になっているとみて良いであろう。

 ここでリーマンショック後のFRBの動きを思い起こしてみると、リーマンショック前の政策金利は5.25%まで上昇していた。その後、07年9月から利下げを開始し、08年12月まで1年以上かけてゼロ金利に到達させている。その後、15年12月の利上げまで約7年間ゼロ金利を続けた。その間に当時のバーナンキ元議長は量的緩和(QE)を第1弾から第3弾まで実施し、為替市場はドル安が進行。ドル円は80円割れまで円高・ドル安が進んでいた。ただ、2010年後半ごろから米失業率に改善傾向が見られ始めたことから、11年半ばからドル安トレンドが終了し、ドルは反転に転じている。その後、ドル円も下げが一服し、ドル反転の流れの中で、2012年初頭にはアベノミクスによる黒田バズーカでドル円は一気に反転に転じている。2015年6月には125円台後半までドル円は上昇した。

 この一連の流れの中でキーポイントだったのが、米失業率の7.0%と6.5%だ。バーナンキ元議長は月850億ドルの量的緩和策終了の目安として失業率7%に言及した。その後、FRBを率いたイエレン前議長は6.5%を利上げ開始の閾値(しきいち)に設定している。直近の米失業率は8.4%まで急速に改善している。ただ、今後、失業率の低下は緩やかになることが予想される。今週のFOMCではあと3年はゼロ金利とのメッセージだった。

 過去の例からすれば、利上げ開始に向けて6.5%がポイントの1つとして意識される可能性もあるのかもしれないが、同時に6.5%に到達するのに3年もかかるのかとの疑問もある。インフレではなく、もう一つのFRBの責務である雇用の面に着目すれば、利上げ開始まで3年もかからないのかもしれない。ただ、ウイルス感染に意識が敏感になっている現状からすれば、致し方ないところなのであろう。また、昔ほどインフレが上昇しにくい環境下でもあり、恐らく今回のFRBは、利上げ開始の失業率の閾値を、もっと低く見ているのかもしれない。

 いずれにしろ、今回のFOMCから、FRBはかなり慎重姿勢であることがうかがえたが、以前も言及した通り、ワクチンが開発され、人々の意識から新型ウイルスへの恐怖感が徐々に消えて行けば、一気に景色は変わることは、期待とともに留意したいところではある。

 さて来週だが、特に重要な米経済指標もなく材料は少ない。パウエルFRB議長の議会証言が予定されているが、新型ウイルス救済支援策のCARES法に関する証言で金融・経済についてではない。引き続き、株式市場を始めとした調整モードが来週も続くか次第であろう。これまで積み上がっていたドルショート、ユーロロングの調整が今週のFOMCを堺に調整が進んだ感もあるが、どうなるか注目される。いずれにしろドル安基調は今後も根強いものと思われる。

 今週の雰囲気が来週も続くと仮定すれば、ドル円の上値は重く、105円台は強い上値抵抗に変化する可能性も留意される。一方、下値は、7月31日の直近安値が104.20円付近に来ているが、その水準をブレイクし、103円台を試しに行く展開も警戒される状況。

 想定レンジとしては、103.50円~105.50円を想定。スタンスは「やや弱気」から「弱気」に変更する。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 中立継続
短期 ↓↓(→)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 上から中立へトレンド変化
短期 ↓↓(→)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 中立継続
短期 ↓↓↓(↓↓)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↓(→)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 中立継続
短期 →(→)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 中立継続
短期 ↓↓↓(↓↓)

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次回の配信は10月3日(土)の午前を予定しています。
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MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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