ドル安は根強いものの、株高・円安でドル円は上値追い＝ＮＹ為替

　きょうのＮＹ為替市場、ＮＹ時間に入ってドル円は上値追いの動きを見せており、今月３日の高値１０６．４５円に顔合わせする場面もみられた。ドル安の流れは根強く続いているものの、きょうは円安の動きが優勢となっており、ドル安を相殺している格好。

　株高が円安を誘発している。先ほど取引を開始した米株式市場でダウ平均は大幅に８日続伸している。協議が難航している追加経済対策への期待感が株高をフォローしているようだ。トランプ大統領がきのう、キャピタルゲイン減税と中間所得層の所得税減税に言及したことに市場は期待感を示している模様。

　トランプ大統領は「キャピタルゲイン課税の引き下げを検討しており、これでさらに多くの雇用が創出される」と述べていた。キャピタルゲイン課税の引き下げには議会の承認が必要だが、一部の顧問はインフレ調整を通じた減税の大統領令なら発令可能だと助言している。これは資産売却時に取得価格を物価調整し、インフレによる値上がり分については減額するもので、長期保有の富裕層の投資家にとってはメリットが大きいとも言われている。

　また、懐疑的な見方も少なくないものの、ロシア政府が世界初のワクチンを承認したと表明したことも雰囲気を改善しているようだ。ロシアは国内外での大規模接種を目指しているという。プーチン大統領は「ワクチンの大量提供を間もなく始められるようなると期待する」とし、自身の娘の１人に接種済みだと話した。

　ドル安の流れが根強い中でドル円の上げが続くかどうかは疑問符も多いものの、夏休みで市場参加者が少なくなる中、ドル円は２１日線の水準を回復している。

USD/JPY　106.43

MINKABU PRESS編集部　野沢卓美