韓国が新経済政策を発表、14兆円投じてテクノロジー軸に経済変革
韓国の文在寅大統領は14日、新型コロナウイルスで打撃を受けた経済を立て直すため「韓国版ニューディール」政策を発表した。規模は160兆ウォン(約14兆円)と、これまでの計画から2倍に増やし、テクノロジーを軸に経済の変革を目指す考え。これにより、今後5年間で190万人の雇用創出を見込んでいる。
企画財政省の発表によると、予算は中央政府が114兆1000億ウォンを負担、地方自治体と民間部門がそれぞれ25兆2000億ウォンと20兆7000億ウォンを負担する。政府は通信ネットワーク部門や人工知能(AI)、その他データ集約産業で2025年までに56万7000人、遠隔教育および医療など非対面型のサービス提供事業で14万3000人の雇用創出を目指す。
韓国では今年、アジア通貨危機以来となるマイナス成長が予測されている。また、韓国統計庁が15日に発表した雇用動向によると、6月の失業率は4.3%で、前年同月比では0.3ポイント悪化した。6月としては統計作成を開始した1999年以来の高い失業率であり、新型コロナウイルスが雇用に深刻な打撃を与えている。6月の失業者数は前年同月比9万1000人増の122万8000人で、6月としては同じく最多だった。
しかし、経済低迷は新型コロナウイルスの影響だけではないとの指摘もみられる。このほど公表された2021年の最低賃金引き上げ率は1.5%となり、文在寅政権の最低賃金政策は振れ幅が大きくなっていると、朝鮮日報が15日付けで伝えている。政権発足以来の引き上げ率は18年、19年が16.4%、10.9%で「スピード違反」状態だったが、20、21年は2.9%、1.5%と急ブレーキがかかった格好。
これについて、朝鮮日報では専門家の見方として「政府が最低賃金引き上げ率で急発進と急ブレーキを乱発し、経済全体の不確実性と負担ばかりを増大させた」と報じている。さらに、大学教授の見方として「世界のどの国も韓国のように経済全体への波及効果が大きく、影響が長続きする最低賃金を急に上げたり下げたりして不確実性を高めたりはしない。明らかな政策失敗だ」との分析も報じている。
韓国ウォン円の日足チャートをみると、5月下旬の安値0.0865円近辺から6月上旬の高値0.0915円近辺まで上昇した後、足もとは0.089円~0.090円のレンジに値動きが収れんしてきている。三角保ち合いが煮詰まりつつあるようにもみえ、早晩上下どちらかに動きそうな状況であり、注目される。
KRWJPY 0.0892
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執筆者 : MINKABU PRESS
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