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とれんど捕物帳 ドル円はやはり下に抜けそうなのか

為替 

 今週も「経済再開への期待」と「感染第2波への警戒感」の綱引きに変化はなく、市場も日替わり相場が見られている。ただ、どちらかと言われれば市場は楽観的なほうに傾いているようだ。特に米株式市場がIT・ハイテク株中心に底堅く推移していることが大きいであろう。IT・ハイテク株については前回も説明したが、経済封鎖や外出規制で逆に恩恵を受けると見られている。eコマースの利用が急増し、加えてテレワークの急速な拡大でPCなどのデバイスやクラウドなどデータセンターの開発需要が急増している。新型ウイルス感染が収束してもテレワークの拡大は今後も続くとみているのであろう。

 ただ、その間にもテキサスやフロリダ、アリゾナなどの米州では感染第2波の拡大は加速しているものの、市場も様子を見ているといった印象。死亡率の観点から見れば、市場が楽観的になってもおかしくはないとの指摘も聞かれる。2週間比で見た上記3州の新規感染者数に対する死亡増加数の割合を見てみると1%台で推移しており、パンデミック以来の低水準が続いている。直近のデータでは、死亡者数の増加は過去最多を記録しており、気掛かりな材料ではあるが、新規感染者数の増加と比較すれば、なお低水準ではある。

 この状況下で膠着しているドル円は一体、上下どちらに抜けるのだろうか。週末には106円台に下落したものの、下放れするまでの動きは見られていない。市場が楽観的な見方を強めれば、通常なら円安に伴い、上ということになるのだが、このところの市場はリスク選好のドル安という方程式が出来上がっており、必ずしもそうとは限らない。しばらく膠着という見方も有力でがあるが、そろそろ大きく動きそうな気配も出ている。

 ドル円のオプション市場を見ると、膠着相場が続いているため、1ヵ月物のボラティリティは5%台に低下し、その水準で落ち着いている。ボラティリティは、これ以上は大きく下がらない水準まで低下しているが、逆に見れば次の変化が迫っている予兆とも言える。ボラティリティの次の動きは上昇と見られるが、その場合、通常ドル円は下だ。何がきっかけになるかは分からないが、下値リスクは高まっているとみて良いであろう。

 ただ、以前も述べたが、為替ヘッジの観点から、日本の機関投資家にとってはドル資産への投資は魅力的な環境になっている。下値ではそれらの押し目買いが積極的に出る可能性もありそうだ。よって、ドル円の下向き圧力は強まる可能性はあるものの、105円に向かってスルスル落ちて行くシナリオまでは見ていない。

 さて来週だが、「経済再開への期待」と「感染第2波への警戒」の綱引きは続くのであろう。ドル円は週末に106円台に値を落としたが、基本的には膠着相場を抜け出した印象まではまだない。想定レンジは106.00~108.00円を想定し、スタンスも「中立」を継続したい。

 来週の注目は経済指標では6月の米小売売上高や鉱工業生産の発表が注目されるが、為替市場も株にらみとなっている中で、4-6月期の米企業決算が始まる。4-6月については冴えない内容になることは既に織り込んでおり、下半期以降に期待感を高めている状況。ただ、感染第2波が拡大する中で、企業が先行きに自信を示すか確認する必要があるとの声も聞かれる。

 もっとも、来週については米大手銀の発表が中心。第2四半期は株式市場が急速に買い戻されるなど市場のボラティリティが上昇したことから、トレーディング収益は大幅な増収が見込まれている。その半面、貸し倒れに備えた引当金が第1四半期以上に積み増されること見られており、純利益は大幅な減益が見込まれている。しかし、ここ数週間、見通しを上方修正する動きも市場から相次いでおり、ここに来て市場も期待値を上げているようだ。加えて、米大手銀の場合、先日のFRBによるストレステストの結果への対応という特殊事情もある。来週の銀行決算が市場全体の雰囲気を反映するかは未知数で、それ以上に再来週以降の産業やIT・ハイテクなどの決算が注目される。 

 また、ECBや日銀など各国中銀の金融政策も予定されているが、いずれも政策変更はなく、現状の慎重なスタンスを維持するものと見られる。声明や発言などでそれなりに市場も反応する可能性はあるが、大きな流れに変化はないものと見ている。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 中立継続
短期 →(↓)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑(→)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 →(→)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑(→)

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次回の配信は7月25日(土)の午前を予定しています。
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MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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