マレーシア、コロナ対策義務を「ワクチン開発まで」義務付け
マレーシア政府が、新型コロナウイルス感染症対策として規定する標準作業手順書(SOP)の順守を、ワクチンが開発されるまで国民や企業に義務付ける方針であると地元各紙が伝えている。ムヒディン首相は27日、「新型コロナとの闘いは、ワクチンや治療薬が開発されるまで続く」との認識を示し、「感染拡大を抑止するには国民は政府が定めたSOPに従う必要があり、保健省がSOPはもう不要と発表するまで順守を義務付ける」との考えを表明した。
首相は活動制限令を5月4日に条件付き活動制限令、6月10日から回復活動制限令に移行し、「経済活動の約95%は既に再開している」との見解を提示。段階的に経済活動の再開を許可しているが、その背景には、経済行動評議会(EAC)でマレーシア中央銀行から、活動制限令を続ければ国内銀行システムが崩壊し、1兆リンギット(約25兆円)の損失を被るとの懸念が出されたことがあると説明した。
政府は感染抑止と経済活動のバランスをとる上で、SOP順守がカギとみているもよう。企業からすれば、操業の足かせを課されることになるが、感染拡大を一定程度抑えられる確度が高まる。アメリカやブラジルのように急速に経済活動を再開すれば、感染再拡大リスクがあるため、理にかなった政策であると、識者などから評価されている。
マレーシアリンギット円は6月上旬に25.70円レベルまで上昇した後、現在は25円ちょうどを挟んでもみ合いとなっている。ただ、4月から5月にかけては24.4円台で推移していたため、それよりはリンギット高の水準。アジアではインドで新型コロナの感染拡大に歯止めをかけられていないが、そのような状況下で感染抑止を続けて、かつ、一定程度の経済活動が進められていると評価されれば、マレーシアリンギットが選好される可能性もありそうだ。
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執筆者 : MINKABU PRESS
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