ドル円は107円台での膠着相場を抜け出せず=NY為替前半
きょうのNY為替市場、ドル円は107円台後半で上下動している。市場では米中対立激化への懸念が高まっているが、時間外で米株先物が強い動きを見せていたことから、ドル円は107.95円付近まで上昇する場面も見られた。円安の動きがサポート。
ただ、米株式市場が始まると、IT・ハイテク株中心に利益確定売りが強まり、ドル円も戻り売りに押された。結局、108円を達成できずに107円台での推移が続いている。ドル円はリスクの動向を巡って、狭い範囲で一喜一憂する展開が続いている。ドルと円の方向感が同じであることから、107円台での膠着相場に変化はない。リスク選好・回避の材料ではレンジ相場は抜けそうにはないようだ。
米中対立については、明日最終日の中国の全人代で、香港の統制を強化する国家安全法の導入巡り採決が行われる。可決がほぼ確実視されている中で香港情勢も荒れており、警察がデモ隊に警告の催涙弾を放ってる状況。
これに対してトランプ大統領は、中国に対して講じられる「非常に興味深い」措置を週内に発表する意向を示している。一部報道では、トランプ政権は中国の当局者・企業・金融機関への様々な制裁措置を検討していると伝えていた。NY時間に入ってポンペオ米国務長官の発言も伝わっていた。長官は「香港はもはや自治を維持できてないと判断。英植民地時代から米国と結んでいる特別な貿易地位を危険にさらしている」と述べていた。
本日の香港株は下落し、為替市場では人民元が対ドルで昨年9月以来の安値へ下落しており、明日の動きが警戒される。
ユーロドルはNY時間に入り戻り売りに押され、1.09ドル台に伸び悩んでいる。きょうは欧州委員会が7500億ユーロの財政出動策を提案すると伝わったことをきかけに、ユーロドルは買い戻しが強まった。全体のうち5000億ユーロが加盟国への助成金の形で配布され、2500億ユーロが融資で利用可能になるという。先週から伝わっていた5000億ユーロに2500億ユーロの融資が加わった格好。
ある程度、事前に伝わっていたこともあり、驚きは小さかったのかもしれないが、本日のロンドン時間は、リスク選好からドル売りの流れが形成されていた中で、敏感に反応したようだ。ユーロドルは上値を抑えていた1.10ドル台を回復し、ストップを巻き込んで1.1030ドル付近まで上昇する場面が見られた。200日線を回復し、テクニカル的にも上昇のサインが出るかにも思われたが、どうも、糠喜びに終わっているようだ。
ポンドドルも戻り売りが優勢になっており、一時1.22ドルちょうど付近まで下落する場面も見られた。きょうの動きで21日線に跳ね返された格好となっており、上値の重い流れは続いている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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