リスク選好一服でややドル買いもドル円は107円台半ばで膠着=NY為替概況
きょうのNY為替市場は米株の動きをにらみながら、落ち着いた展開を見せている。そのような中でややドル高の動きも見られていた。市場では経済再開への期待と伴に米中対立への懸念も強まっている。トランプ大統領が議会に、中国に対する戦略的なアプローチについて書簡を送付したこともドル買いの手掛かりになっているようだ。
ドル円もやや買いの動きが見られていたが、108円台を目指す動きまでは見られず、相変わらず107円台での膠着した値動きが中心。この日の米経済指標は強弱まちまちの内容だったが、特に反応は限定的となった。注目の米新規失業保険申請件数も発表され、申請件数は243.8万件と予想を上回ったものの、特に悪材料視されていないようだ。
明日は日銀の緊急会合が予定されており、ドル円にとっては注目の材料となりそうだ。日銀は中小企業などへの新たな資金繰り支援制度を正式に決める見通しだ。一方、金融政策については現状維持が見込まれている。
新たな資金繰り支援制度は、政府の緊急経済対策における信用保証付き融資の保証料・利子減免制度などを利用して行う金融機関の貸し出しを対象に、日銀が資金を供給する仕組みで、金利ゼロ%で金融機関に資金を供給し、利用残高に応じて日銀当座預金に0.1%を付利する。今回の注目点は、制度を使った融資以外もその対象に含めるかの是非や、資金供給の限度額、受付期限といった具体的な内容となりそうだ。
ユーロドルは戻り売りに押された。きょうは大きな心理的節目の1.10ドルを瞬間的につける場面も見られたが、その水準には強い抵抗があるようで上値を拒まれている。
きょうはロンドン時間に5月のユーロ圏PMI速報値が発表されていた。前回からは大幅に改善しており予想も上回った。経済再開への期待感が企業のセンチメントを幾分改善させたのかもしれない。ただ、それ自体へのユーロの反応は限定的だった。依然として景気判断の分岐点である50を大きく下回っており、4-6月期の成長は前期比でマイナス10%が見込まれる中、先行きへの期待感を高める材料までにはならなかったようだ。しかし、今回のPMIの上昇は、都市封鎖措置が緩和されるのに伴い落ち込みは徐々に和らぐという期待を後押しする内容だとの指摘も聞かれる。
ポンドドルは1.22ドル台前半での推移。この日発表の英PMIが製造業、サービス業とも予想を上回ったことをきっかけに買い戻しが見られていた。一時1.21ドル台に下落していたが、1.22ドル台半ばまで戻す場面も見られた。
市場では英中銀がマイナス金利を採用するのではとの見方が強まっている。きのうのベスリー英中銀総裁の議会証言でもマイナス金利の可能性を否定しなかった。また、きょうは英国債市場で5年物国債の利回りが初めてマイナスに低下している。英中銀のマイナス金利を視野に入れた動きとも思われる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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