【来週の注目材料】前回はかなり強めのISM製造業、今回は
新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に広がる中、米株の急激な下げなど、米国市場でも大きな混乱が見られ、ここにきて3月17日、18日のFOMCでの利下げ期待が広がりつつあります。
2月20日時点でもほとんど見られなかった3月FOMCでの利上げ見通しは、先週末の時点で、短期金利市場ではほぼ織り込む動き。それどころか短期金利先物市場では4月の連続利下げすら織り込みに行こうという動きまで見られました。
とはいえ、今年一年の据え置きが見込まれていた状況から、一気に利下げに向かうことができるか。新型コロナウイルスの感染拡大による景気鈍化懸念という観点からは、まだ影響を見極めるには時期尚早という見方もあり、微妙なところという印象です。
こうした状況を受けて、利下げ実施の見極めに向けて米主要指標に対する注目度がかなり高まってきています。
そうした中、今週は2日に2月の米ISM製造業景気指数、4日に2月の米ADP雇用者数と同ISM非製造業景気指数、6日に2月の米雇用統計が控えています。特に注目は2日のISM製造業景気指数と6日の米雇用統計です。
まず、発表の早いISM製造業景気指数から。
12月の同指標が予想を下回って2009年以来の低水準となる47.8を記録した同指標でしたが、前回1月分は予想を上回る好結果に。米中通商協議の第一弾合意が好感され、予想の48.5だけでなく、景気判断の境となる50.0もしっかりと上回る50.9を記録しました。
ただ、アンケート調査の時期的に新型コロナウイルスの感染拡大懸念が広がる前の回答がほとんど見られ、同件の影響が出た今回はどこまで悪化しているのかが注目されるところとなっています。
予想は50.5とわずかながら鈍化も、重要なポイントとなる50.0を上回る好結果が見込まれています。ここにきて急速に新型コロナウイルスの感染拡大懸念が米国でも広がっていますが、2月半ばころまでは米ダウ平均株価やナスダック総合指数などが史上最高値を更新するなど、リスク警戒の動きは限定的で、それよりも米景気の底堅さへの期待感などが優勢となっていただけに、事前予想の水準はしっくりくるという印象です。
ただ、中国経済の鈍化懸念はすでに広がっていただけに、製造業の景況観悪化がすでに進んでいた可能性は十分にあります。この場合、その後の皿に警戒感が強まっていることが確実な状況だけに、ドル売りにつながりそうです。
MINKABU PRESS 山岡和雅
執筆者 : MINKABU PRESS
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