今週のまとめ2月17日から2月21日の週
17日からの週は、半ばから一気にドル買い円売りが進む展開となった。ユーロドルなどでドル高が進む中、ドル円は新型コロナウイルスの感染拡大懸念などを受けたリスク警戒感もあり、週の半ばまでは110円ちょうど手前で頭を抑えられる動きに。19日の東京市場で110円台乗せると、同日のロンドン市場から一気にドル高円安の動きが強まる展開に。横浜港に着けるクルーズ船内での新型コロナウイルスの感染拡大、日本国内での感染での死亡者の発生、第4四半期の日本のGDPの弱さを受けたリセッション懸念などが円売りにつながったとみられる。先月の高値110円29銭を超えると動きに拍車がかかり111円台半ばに。その後の調整も111円台を維持すると、翌20日の海外市場でドル買い円売りの動きが加速し、112円台まで上昇する展開。今月に入ってのドル高を主導してきたユーロドルは、1.07台での売りに慎重な姿勢が見られ、頭が重い展開も1.07台後半まで。ユーロ円の上昇にも下値を支えられた。
(17日)
東京市場は、小動き。ドル円は109円台後半での揉み合いに終始しており、レンジは16銭にとどまっている。このあとの米国市場がプレジデンツデーで休場となることから、取引参加者が少なくなる。東京市場でも積極的な売買が手控えられた。朝に発表された日本の第4四半期GDPは予想を大きく下回り五期ぶりのマイナス成長となった。日経平均が朝から大きくマイナスになるなど、日本株の売りが目立ったが、為替市場への影響は限定的。ユーロドルは買い戻しに動きがみられ、1.0810台から1.0844レベルまで一時上昇した。特段の買い材料は見られず、調整の動き。中国人民銀行は1年物MLFの金利を引き下げて供給を実施した。これを好感して中国株が買われ、リスク警戒感を和らげた。
ロンドン市場は、全般に小動き。このあとのNY市場では米国がプレジデンツデー、カナダがファミリーデーのため休場となる。週明けロンドン市場では主要な経済指標の発表や金融当局者の発言報道はみられず。欧州株や米株先物は小幅高で揉み合い。中国人民銀の流動性供給の金利引き下げや景気対策期待などで上海株が2%超の大幅高となったことが、リスク警戒感を後退させていた。また、原油相場が先週来の高値水準を維持していることも安心材料。ドル円は109.88レベルまで小幅に高値を広げた。ユーロドルは1.0851レベルに高値を広げ、ポンドドルは1.3027レベルに安値を広げた。ただ、いずれも20ポイント程度の値幅での動きにとどまっている。先週末にユーロ売り・ポンド買いの動きがみられた反動で、週明けロンドン市場ではユーロ買い・ポンド売りに調整される程度の動き。カナダドルは原油相場の安定を好感して小高い動き。
NY市場は、プレジデンツデーの祝日で、株式および債券市場が休場。
(18日)
東京市場は、リスク警戒の動き。アップル社が新型コロナウイルスの影響で1-3月期の売り上げについてガイダンスに届かない見通しを示したことが背景。ドル円は110円手前水準での揉み合いから一時109.66レベルまで下落した。ドル円以外の各主要通貨に対して、ドルは堅調に推移した。ユーロドルは1.08台前半で上値重く推移。豪ドル/ドルは0.67台割れとなった。米10年債利回りは1.54%台へと低下。ドル安圧力よりもリスク回避のクロス円の売り圧力が勝った。豪中銀議事録は、追加利下げを検討とのヘッドラインで豪ドル売りの反応がみられたが、内容はこれまでと変わらずだったことですぐに落ち着いた。その後は、リスク回避圧力に押し下げられている。
ロンドン市場は、ポンド相場が振幅した。序盤はリスク回避の動きが先行。アップルが新型ウイルスの影響で中国での生産が滞っていることで、四半期売上目標は未達としたことで時間外取引で同社株が大幅安となり、市場全体のムードの重石となっている。アジア株が総じて下落した流れを受けて、米株先物や欧州株も下落している。ドル円、クロス円ともに上値重く推移している。ただ、一段安の動きは限定的。そのなかで、ポンド相場の振幅が目立った。英ILO雇用統計の発表を控えてポンド売りが先行、ポンドドルは1.29台後半、ポンド円は142円台前半に下落した。雇用統計では雇用者数の伸びは予想を上回ったものの、賃金の伸びが鈍化、一時ポンドが一段安となった。しかし、その後は下げ一服。スナック新英財務相が3月11日に予算を発表するとツイート。市場には再び積極財政への期待が高まった。ポンドドルは1.30台前半、ポンド円は一時143円台乗せとなり、この日の高値を更新した。
NY市場では、ドル買いの動きが優勢。NY連銀製造業景気指数が予想外に強い結果となったことがきっかけ。ドル円は買い戻しの動きとなり、109.90台まで買われた。110円台乗せには至らなかった。ユーロドルは指標発表後に売りが加速し、1.08台を割り込んだ。2017年4月以来の安値水準となった。中国のコロナウイルス感染拡大がドイツ経済などに与える影響が懸念されており、ユーロ売り圧力が継続した面も。ポンドドルは1.29台に反落している。ロンドン午前にはスナック英新財務相が予定通り3月11日に予算案を発表すると発言、ポンド買いの動きが広がっていた。NY市場ではユーロドルの下げに引っ張られて反落している。NY後半には1.30ちょうど付近での揉み合いに落ち着いた。
(19日)
東京市場で、ドル円は110円台を回復する動きだった。昨日の海外市場では109.90台までの上昇にとどまり、その後は揉み合いとなっていた。ユーロドルが再び1.08台割れとなる動きがドル高圧力としてドル円にも波及し、110.11レベルまで一時上昇。その後も110円台の大台を維持している。昨日の海外市場で振幅したポンド相場は様子見姿勢。ポンドドルは1.3000前後での揉み合いで、このあとの英消費者物価指数の発表待ちに。
ロンドン市場は、リスク警戒感が後退。ドル円は110.37レベルと今年の高値を更新した。欧州株や米株先物が上昇しており、前日のアップルショックからの早い立ち直りが好感されたもよう。クロス円も全般に高値を伸ばす動きでユーロ円は119円台乗せ、ポンド円は143円台乗せ、豪ドル円は73円台後半へと上昇。ただ、ポンドは英物価指標の発表をめぐって神経質な上下動がみられた。発表前はリスク選好の動きとともに買いが先行も、発表を目前に反落。1月の英消費者物価指数は前年比+1.8%と予想以上の伸びを示すと一時ポンド買いに。しかし、ポンドドルはドル高圧力に押されて下落。ポンド円はドル円とともに上昇とまちまちだった。ポンドドルは1.30を挟んで振幅し、一時1.2974レベルまで安値を広げる場面があった。
NY市場では、ドル円が急上昇。111円台乗せから一時111.60近辺まで大幅に買われた。この日の安値からは170ポイント超の上昇。ウィルス感染の新規増加数が鈍化傾向をみせている。中国の景気対策への期待感もあり、あすの中国人民銀行の利下げへの期待も。また、日本のリセッションへの懸念が円安を呼び込んでいるとの指摘もあった。今週発表された日本のGDPが前期比年率6.3%減と落ち込んだことが材料視されている。日銀の緩和余力には疑問もあるが、なんらかの対応を迫られる可能性が指摘されている。ゴトウ日を控えた実需フローの指摘もあった。FOMC議事録が公表されていたが、為替市場の反応は限定的だった。ユーロドルは1.08ちょうど付近での振幅。引き続き上値重く推移している。ポンドドルは1.2910近辺まで下落。英予算をめぐる期待で買われたポジションに見切り売りが入っていた。
(20日)
東京市場では、ドル円が111円台前半での推移。前日の110円近辺から111.50超えまでの大幅上昇を受けて、東京市場ではいったん調整が入り、111.11レベルまで反落した。一方、クルーズ船で感染し、入院していた日本人2名が死亡、との報道は円売り材料に。その後は再びドル買い主導に展開となった。オフショア人民元が下落しており、1ドル=7.04人民元台に乗せた。韓国ウォンやシンガポールドルなども売りがでており、アジア通貨は全面安になっている。米債利回りが1.55%割れに低下も、ドル売りにはつながらず。ユーロドル、ポンドドルは上値重く推移。午前中の豪雇用統計で失業率が予想よりも悪化したことで豪ドルは軟調。中国人民銀は再優遇貸出金利を引き下げ、上海株はプラスに転じて引けた。
ロンドン市場では、ドル円が112円台に乗せた。この日の安値からは1円以上、前日の2円弱の上昇とともに、急ピッチな円安進行。東京午前には新型コロナウイルスでクルーズ船の患者から初の死亡者がでたと報じられた。日経平均が序盤の上げを縮小するとともに、続く欧州株や米株先物も売りが先行している。欧米勢からはアジア地域全般のウイルス感染拡大が警戒されているようだ。アジア通貨が総じて安い。そのなかで、ドル円は111円台後半からアッサリと112円台に乗せている。クロス円も総じて円安方向に傾いている。一方、ドル相場は引き続き堅調。ポンドドルは1.28台後半へ、ユーロドルは1.07台後半へと上値重く推移。ただ、クロス円の上昇を消すほどの動きにはなっていない。この日発表された1月の英小売売上高は予想を上回る結果となり、一時ポンド買いの反応がみられた。
NY市場でもドル高円安の流れが継続。午前中に112円23銭まで上値を伸ばした。19日の109円台からの大きな上昇ということで、さすがに調整が入る場面も見られ、111円台後半まで一時値を落としたが、夕方にかけて112円台を回復するなどドル高円安基調が継続した。ロンドン市場で伊h支持1.0770台を付けたユーロドルは、調整の動きが優勢となり、ユーロ円の買いもあって1.0820台を付ける動きが見られたが、その後上昇分を解消して1.0780台へ値を落とすなど、頭の重い展開に。
(21日)
東京市場は112円前後での推移。前日の海外市場で112円23銭まで上昇した後、111円台後半を付ける場面も、112円台を回復して東京朝のスタート。その後ドル買い円売りが入る場面が見られ112円19銭まで上昇したものの、衆院で答弁した黒田日銀総裁が追加緩和について具体的に論ずる段階ではないと発言したことで円買いが入り、その後は112円前後での推移。朝から続く米長期債利回りの低下が午後に入っても止まらず、1.50%をあっさり割り込んで1.48%台まで落としたことなども重石となった。
ロンドン市場では、序盤にドル売りの動きが強まった。ドル円は一時111円台半ば割れまで値を落とす展開に。米10年債利回りが一時1.46%台まで大きく低下する中で、ドルは全面安となった。ユーロドルが1.07台から1.0820近辺まで上昇する動きも見られた。しかし、ドル安一服後は再びのドル高に。ドル円の地合いの強さが堅調。買い遅れの動きも見られ、下がったところで買いが出る流れとなった。ユーロドルの戻りが昨日のNY市場とほぼ同水準の1.0820近辺までとなったことも、ユーロ売りドル買いの流れを意識させ、ドルの買い戻しに寄与した。
NY市場はドル安が強まり、ドル円は戻り売りを強めた。この日発表のマークイットの米PMIが49.6と景気判断の分岐点である50を下回り、2013年以来の低水準に低下したことが嫌気されている。この発表を受け、米30年債利回りが過去最低水準に低下。弱い米企業景況感指標で、市場はウイルス感染の米企業への影響に改めて警戒感を強めた模様。ただ、クロス円は上昇。米株は売りが強まっていたが、円安自体は続いている。
執筆者 : MINKABU PRESS
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