ドル円は111円台まで一気に急上昇 日本のリセッションへの懸念で円安との指摘も=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円が急上昇しており、111円台まで一気に回復した。一時111.60円近辺まで急上昇し、本日安値から170ポイント超上昇。ウイルス感染は依然として拡大が続いているものの、新規感染者数は減少傾向も見せている。中国当局の発表データに懐疑的な見方はあるものの、警戒感の一服に繋がっている模様。しかし、収束の気配まではまだ確認できていない。
このような中、中国の景気対策への期待感が高まっており、一部からは明日、中国人民銀行が利下げを発表するのではとの見方も出ている。第1四半期の成長は最悪が予想されるものの、中国政府の景気刺激策次第では、第2四半期にはV字回復も期待できるといった楽観的な声も出ているようだ。
また、ドル買いのほか、日本のリセッションへの懸念が円安を呼び込んでいるとの指摘も聞かれた。今週発表の10-12月の日本のGDPは前期比年率換算で6.3%の大幅なマイナス成長となった。10月の消費税増税の影響が直撃した格好。増税前の駆け込み需要がさほど盛り上がらなかったことを考慮すると、完全に増税が景気を圧迫したようだ。さらにウイルス感染の影響が日本にも拡大しており、インバウンドを始め、経済に影響が出ている。1-3月もマイナス成長に陥る可能性が高まる中、リセッションは濃厚との見方も少なくない。日銀の緩和余力がどの程度あるかは未知数だが、何らかの対応を迫られる可能性もありそうだ。
本日の条件もドル円の買いを呼び込んでいた可能性もありそうだ。ひとつは明日20日がゴトウビにあたり、明日の東京時間の午前に実需買いオーダーが期待されること。そして、本日にロングを作り、NY時間夕方の日付変更線をまたげば、4日分のスワップが付く。
ドル円は108円から110円のレンジ取引から本格的に上方シフトを見せるのか、明日以降の動きが注目される。なお、午後にFOMC議事録が公表されていたが、為替市場の反応は限定的となった。
ユーロドルは1.08ドルちょうど付近での振幅。ユーロドルは上値の重い展開が続いている。今年に入ってユーロドルは売りが続いており、今月に入ってその動きが加速。さすがに過熱感は否めず、下値では買い戻しも出ているようだが、本格的な浮上の気配は依然として見えない状況。
1-3月の中国経済は減速が確実視されている。そのような中で、特にドイツ経済への影響が懸念されており、ユーロを圧迫。中国はドイツの主要輸出国であるが、今回のウイルス感染でドイツ経済もマイナス成長が警戒されている。好調な米経済指標とウイルス感染がドルの魅力を高めており、ユーロドルは下げ過ぎ感は強まっているものの、さらに下値を模索するとの見方も出ている状況。
ポンドは見切り売りが強まった。ポンドドルはストップを巻き込んで1.2910ドル付近まで一時下落。来月に発表される英予算案を巡って市場は期待感を高め、ポンド買いが強まっていたが、EUとの貿易協定締結のリスクもある中、買いは続かず、見切り売りが出ている格好。
きょうは英消費者物価指数(CPI)が発表され、電気・ガス料金の上昇を受けて6ヵ月ぶりの高水準となった。ポンドは買いの反応を見せたものの、すぐに上値を抑えられたことも、見切り売りを誘っているのかもしれない。CPIは英中銀の想定範囲内でもあり、金利に対する見方に変化はないとの声も出ている。しばらくは据え置きとの予想を裏付けるCPIではあった。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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