予想外に強いNY連銀指数きっかけにドル円も買い戻し=NY為替前半
きょうの為替市場はNY時間に入ってドル買いが優勢となり、ドル円も買い戻されている。きょうはアップルが中国でのコロナウイルス感染拡大に伴う業務の遅れと需要減を理由に、1-3月期の売上高予想を達成できない見通しを明らかにしたことでリスク回避の雰囲気が再燃。市場では予想されていたリスクではあったが、改めて感染拡大によるサプライチェーンへの懸念を強めているようだ。
きょうのドル円は109.65円近辺まで下落していたが、NY時間に入って発表されたNY連銀景気指数が予想外に強かったことで買い戻しが加速し、110円を再びうかがう動きも見られた。ただ、ダウ平均が200ドル超下落する中、110円は上値抵抗が強い。
ユーロドルは指標発表後に売りが加速し、一時1.0785ドル近辺まで下落する場面が見られた。1.08ドル割れは2017年4月以来。ユーロドルは下げが止まらず、浮上のきっかけが掴めないでいる。この日発表の2月のドイツZEW景況感指数が予想を下回るなど、中国のコロナウイルス感染が拡大する中で、ドイツ製造業のセンチメントは依然として盛り上がらない状況が続いている。先週発表になった10-12月のドイツGDP速報値は、かろうじてマイナス成長は回避されたが、1-3月を始め、同国の景気への先行き不安感は根強い。
ただ、下げ過ぎ感も強く、RSIは21台と2018年5月以来の水準まで低下。いつ買い戻されてもおかしくはない状況だが、その気配はいまのころは見られていない。
ポンドは買い戻しが出ており、ポンドドルは1.3040ドル近辺に戻している。一時1.29ドル台に値を落とす場面が見られた。きっかけはスナック英新財務相の発言で、予定通り3月11日に予算案を発表すると述べた。ジャビド前財務相の突然の辞任により、市場では予算案発表を延期せざるを得ないとの観測も出ていた。ただ、予算案策定に集中するため、今週末に予定されているG20会合は欠席する見通し。
市場では英予算案に期待感が高まっている。ジャビド前財務相が辞任に追い込まれるほど、ジョンソン首相が力を入れていると見られているようだ。しかし、市場からは財政赤字を考慮すると限界があり、噂で買って事実で売る展開になるリスクも指摘されている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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