今週のまとめ1月20日から1月24日の週
20日からの週は、リスク回避圧力がみられた。この週はダボス会議やECB理事会などが注目イベントだったが、中国の武漢市で発生した新型コロナウィルスの感染拡大の動きが市場の主要なテーマとなった。感染が次第に世界的な広がるをみせるなかで、市場には不安感が広がった。株安とともにドル円やクロス円が下押しされている。ただ、ドル円は109円台前半までの下げにとどまるなど、パニック症状には陥っていない。中国当局が感染拡大の封じ込めに注力していることが評価される面もあった。もっともドル円は109円20銭台と安値圏で引けており、警戒感が週末まで続いた。個別通貨ではユーロが弱い動き。ECB理事会後にラガルド総裁が、戦略見直し作業であっても状況に応じて金融政策の変更の可能性がある、金融政策は自動操縦ではない、としたことが市場の年内の金融政策変更無しの見方に一石を投じていた。ユーロドルは一時1.10台前半へと軟化した。一方、ポンド相場は堅調。今週発表された英経済指標が回復を示したことで、先週までの弱い英経済のイメージが覆される格好だった。来週の英中銀利下げ観測、据え置き観測は、いずれも5割程度と見方が分かれている。金曜日からは中国が春節の大型連休に入った。連休中の新型コロナウィルスの状況が来週のムードに影響しそうだ。
(20日)
東京市場で、ドル円は110円台前半での推移だった。オセアニア市場では少し調整の動きが入り、頭の重い展開が見られたが110.05レベルまでと、大台を維持。東京勢が本格参加してからはドル買い円売りの動きが優勢となり、110.22レベルまで上値を伸ばした。ユーロドルは1.1090付近での10ポイントレンジにとどまった。ポンドはやや上値重く、対ドル1.30台割れ、対円143円割れ水準で取引を開始したが、その後はやや買い戻しが入った。ドル/人民元は6.84台に軟化、昨年7月以来の元高水準となった。米中通商協議第一弾合意の署名後は元高推移が継続している。
ロンドン市場では、ポンド売りが優勢。ただ、足元では下げ一服に。この後のNY市場がキング牧師生誕記念日の祝日で株式・債券市場が休場となる。市場は早仕舞いの姿勢を示しているもよう。ポンドにとっては、引き続き来週の英金融政策委員会での利下げ観測が重石。きょうは特段のイベントがなかったが、あすは英雇用統計が発表される。また、市場全般では、あすから24日までのダボス会議を控えて様子見ムードが広がっている。ドル円は110.10-20レベルで方向感に欠ける取引が続いている。ユーロドルは1.11近辺が重く、1.1080台へと小安い。ポンドドルは1.30ちょうど近辺から一時1.2962レベルまで下落も、足元では1.2985-90近辺まで下げ渋り。ユーロ円は122.10-30レベルで、ロンドン時間は上値重く推移。ポンド円は一時142.80近辺まで下押しされたが、その後は143円台を回復。
NY市場は、キング牧師生誕記念日の祝日で休場。
(21日)
東京市場は、円高の動き。中国・武漢で発生した新型コロナウイルスが拡散しており、春節の大移動で感染が世界中に広がることが懸念されている。逃避通貨の円が強含んだほか、安全資産の金にも買いが入った。豪州で感染の疑いがある男性が見つかったと報道されたことは豪ドルをやや圧迫した。日銀は金融政策決定会合で、現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の継続を賛成多数で決めたほか、展望リポートでは景気見通しが上方修正されたが、材料視されず。ドル円は一時109.90近辺、ユーロ円は121.90近辺まで下落。ユーロドルは1.10台後半でポンドドルは1.30台前半での強保ち合い。
ロンドン市場では、ドル円は110円の大台を回復した。東京市場での下落を受けて、ロンドン朝方には東京市場の安値を更新する動きがみられたが、その後は揉み合いを経て110円台に再び乗せた。動きがみられたのがユーロ相場だった。対ドルで朝方の1.1080台から1.1110台まで上値を伸ばした。独ZEW景況感指数の好結果がユーロ買いを誘う格好となった。ユーロ円も121.80台から122.30台まで買われた。ポンドはユーロに連れ高となる場面があったが、上値が重かった。英失業保険申請の数字が低めにでたが、来週の英金融政策会合での利下げ観測が上値を抑えたもよう。
NY市場では、リスク回避の動き。中国での新型コロナウィルス感染拡大懸念が背景。東京市場では円買いが優勢となる場面があったが、NY市場でも株安の動きをともなってドル売り・円買いに。米国シアトルで米国内初の感染者を確認と報じられ、警戒感が一気に増した。ドル円は109.76レベルまで下落。ユーロも売りに押されており、ユーロ円は121.73レベルに、ユーロドルは1.1081レベルに安値を更新。午後に入ってからも、ダウ平均が下げ幅を拡大、米債利回りも低下した。あすに金融政策会合を控えるカナダも軟調。ドルカナダは1.30台前半から後半へと上昇。市場の政策金利見通しは据え置きがコンセンサスとなっているが、声明で今後の緩和の動きが示唆されるとの思惑があった。
(22日)
東京市場で、ドル円は底堅く推移した。前日NY市場で109.76レベルまで下落後は、110円台前半まで切り返している。中国の武漢から新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大し、春節の大移動に伴ってさらに蔓延することが警戒されている一方で、過剰に警戒感は拡大しておらず、円高に調整が入った形。中国の衛生当局が感染拡大を早期に封じ込めようとしていることが、不安感を後退させた。ユーロ円は121円台後半、ユーロドルは1.10台後半で揉み合い。リスク回避は一服も、あすのECB理事会を控えて様子見ムードに。ポンド円は143円台半ば、ポンドドルは1.30台半ばと見慣れた水準での推移。豪ドル円は一時75円付近まで軟化したが、その後はドル円とともに下げ渋り。
ロンドン市場では、リスク回避ムードは一服した。欧州株は取引序盤に独DAX指数が最高値を更新するなど、買いが先行。米株先物も時間外取引で堅調に推移している。香港で初のコロナウィルス感染と報じられたが、目立った反応はみられず。トランプ米大統領は、中間層への大規模減税、米金融当局への利下げ要求、対欧州製自動車に対する関税賦課の示唆など、選挙に向けて強い姿勢をアピールしていた。ただ、市場は反応薄。ドル円は110円をやや下回る水準での揉み合い。ユーロドルは1.10台後半での小幅振幅。ユーロ円は121円台後半から122円近辺での揉み合いと落ち着いた展開。ポンドは1月の英CBI製造業受注指数の改善を受けてやや買われている。ポンドドルは1.30台前半から後半へ、ポンド円は143円台前半から後半へと上昇。カーニー英中銀総裁は、環境問題について発言しており、金融政策については言及せず。
NY市場は、落ち着いた値動き。ドル円は110円台が重くなり109.83レベルまでじり安の動き。ただ、下値での買いもあって値幅は限定的だった。中国政府が武漢市に発着する航空機、長距離バス、電車、市内の公共交通機関の停止方針を示すなど、積極対応に出ている事も下値しっかり感に寄与したようだ。カナダ中銀金融政策決定会合は10会合連続での据え置きを発表。声明が予想以上に慎重なものとなり一気のカナダ売りとなった。声明から「主要金利水準は適切」との文言が外されたことに反応した。昨年第4四半期の経済成長見通しを大きく引き下げ、今年第一四半期の見通しも下方修正された。また、直近の景気鈍化がどこまで続くのかを注視など、警戒感が押し出される内容だった。ポンドは一段高。英CBIの楽観指数が予想外のプラスに転じたことが買いにつながった。ポンドドルは1.31台半ばまで買われた。ユーロドルは1.10台後半で方向感に欠けた。
(23日)
東京市場は、リスク回避の円買いが再燃。中国・武漢で発生した新型コロナウイルスの感染拡大がリスク回避の円買いを後押しした。中国国営TVによると、中国国内の感染者数は571人、死者は17人に達している。感染拡大は止まっておらず、25日からの春節で感染者が世界的に広がるリスクがある。ドル円は109円台半ばへと下落。ECB理事会を控えて、ユーロ円は121円台半ばへと軟化。ユーロドルは1.10台後半で、やや上値重く推移。ECB理事会後の会見では、ラガルドECB総裁が戦略見直しについて発表する見通し。豪ドル/ドルは0.68ドル台前半から後半へと上昇。豪雇用統計が強い内容だったことが背景。NZドル/ドルは0.65台後半で小動き。NZドル円は72円台前半で弱含み。
ロンドン市場では、リスク回避の動きが一服。中国の新型コロナウィルスの感染拡大リスクは引き続き不透明ではあるものの、ECB理事会の結果発表やラガルドECB総裁の会見を内容を確認したいとのムードで、積極的な取引は手控えられているようだ。序盤は欧州株が売り先行で始まり、ドル円やクロス円が下値を模索した。ドル円は一時109.49レベルまで、ユーロ円は121.35レベルまで、ポンド円は143.67レベルまで安値を広げた。しかし、その後は欧州株が下げ渋ったこともあり、円高の動きは落ち着いている。ドル円は109円台半ば、ユーロ円121円台半ば、ポンド円は143円台後半と、安値からの反発の動きは限定的。ユーロドルは1.1080-90レベル、ポンドドルは1.3130-50レベルでの揉み合いが続いている。
NY市場では、ユーロが振幅した。ECB理事会は政策金利を据え置き、ラガルド総裁の会見内容に焦点があてられた。総裁会見直後はユーロ買いの動き。総裁は「経済成長の対する下振れリスクは以前ほど高くない」と発言。前向きな姿勢が見られるとしてユーロドルが1.11台にしっかり乗せる動きを見せた。しかしその後は慎重な姿勢が見られ、大台を維持しきれず、逆に大きくユーロ売り。1.1036近辺まで値を落とす展開に。ユーロ円は121.70近辺から120.60台まで、1円以上の値幅となった。その後は引けにかけて121円台を回復と、活発な動きだった。ドル円は一時109.27レベルまで下落。序盤は新型コロナウイルスの感染拡大懸念が強まる中でドル売り円買いの動きが優勢。その後はWHOが新型コロナウイルスについて緊急事態宣言を見送ったとの報道などが、過度な警戒感に対する一服感を誘った。ドル円は109円台半ばへと反発した。
(24日)
東京市場では、小動き。ドル円は109円台半ばで推移し、前日海外市場までの円高の動きは落ち着いた。 中国では新型コロナウイルスの感染者数が拡大を続けているうえ、春節の大移動に伴って世界各地に蔓延する可能性があるものの、週末をまたいで事態が悪化するのか見定めたいとのムードとなっている。来週、米FOMCが予定されていることも値動きを抑制する要因か。ユーロ円は121円ちょうど前後、ポンド円は143円台半ばから後半で推移した。上値重く揉み合っている。ユーロドルは1.10台半ば、ポンドドルは1.31台前半での揉み合い。NZドル円は72円台半ばでの推移。昨年第4四半期の消費者物価指数は前年比+1.9%と加速する傾向を維持していた。
ロンドン市場は、ポンド相場が振幅した。この日発表される英PMI速報値の改善を見込む格好で買いが先行。結果は製造業、非製造業ともに予想を上回る内容だった。ポンドドルは1.31台後半、ポンド円は144円台乗せへと買われた。しかし、その後は利益確定売りに押されて1.30台後半、143円台前半へと反落する動き。市場全般にはWHOが中国の新型コロナウィルスの感染について非常事態宣言を見送ったことや、中国当局の人的移動の制限など感染拡大阻止に動いていることが安心感を広げた。欧州株は前日の下げを消す大幅反発となっている。ドル円は109.65近辺に高値を更新、その後の下げも浅い。ユーロはポンドの上下動に連れた振幅。ユーロドルは1.10台後半から前半へと小安い。ユーロ円は121円を挟む振幅。ドイツPMI速報値が改善する一方で、ユーロ圏全体では改善の動きが弱くまちまちだった。
NY市場で再び新型コロナウイルスの感染拡大懸念が広がった。米疫病感染予防センター(CDC)が米国内で二人目の感染者を発表したことなどがきっかけとなった。朝方ダウ平均が120ドル超の上昇を見せるなど、堅調な動きを見せたが、そこから400ドル以上値を落とし、前日比でも300ドル超まで値を落とす中で、リスク警戒の円買いが優勢に。ドル円は109円17銭まで値を落とし、そこからは少し戻したものの109円30銭前後で週の取引を終えている。ユーロはロンドン市場の高値から対ドル、対円で値を落とす展開に。リスク警戒の円買いからのユーロ円の売りに頭を押さえられた。ロンドン市場でPMIの好結果から買いが入ったポンドも、そこから大きく値を落とす展開となっており、ポンド円は142円72銭とロンドン市場の高値から1円40銭の下落。
執筆者 : MINKABU PRESS
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