パウエル会見を受けドル売り強まる 利上げのハードルの高さを強調=NY為替概況
きょうのNY為替市場は午後になってドル売りが強まった。ドル円は108.50円を下回る場面も見られ、ユーロドルは強い上値抵抗となっていた1.11ドルの水準を突破し、ストップを巻き込んで1.1145ドル付近まで一時上昇した。
午後になってFOMCの結果が公表され、パウエル議長の会見も行われた。FOMCは予想通りに据え置きとなったが、注目されていたFOMCメンバーの金利見通し(ドット・プロット)は来年の金利据え置きを示唆し、声明では「見通しへの不確実性」の文言が削除されていた。
一方、パウエル議長は現在の金利が適切との見方を示し、当面の金利据え置きを強調したが、一方で利上げについては「著しくて持続性のあるインフレ加速が必要」と述べ、利上げについてはハードルの高さを強調していた。
FOMCの結果発表直後はドル買いが見られたものの、その動きは続かず、次第にドル売りの動きが優勢となる中、パウエルFRB議長の発言を受けてドル売りが加速した格好。
ドル円は108.50円を下回る場面が見られたものの、下押す動きまでは見られていない。基本的には米中貿易協議の結果待ちの雰囲気が強く、様子見姿勢に変化はない。
ユーロドルは買いが強まった。ただ、ユーロ自体に買い材料がない状況に変わりはない。12日木曜日のECB理事会は注目イベントとなる。ラガルド総裁の就任後初の理事会だが、今回は政策変更は何もないことが確実視されている。今回の理事会がユーロ相場にインパクトを与える可能性は低そうだが、今後の金融政策の「戦略的見直し」について議論されるものと思われ、その中身次第では来年のユーロ相場に影響しそうだ。
ラガルド総裁の会見などで詳細が示されるかは未知数だが、戦略的見直しの開始時期については公表してくる可能性はありそうだ。市場では1月が有力視されている。
ポンドは買い戻しが優勢となっており、1.32ドル台を回復する場面も見られた。東京時間の早朝に発表されたユーガブによる議席予想の世論調査で、英保守党が339議席、労働党231議席となった。前回の調査よりも保守党の議席予想が減少しており、ポンドは急速に下落していた。前回は359議席だった。ポンドドルは1.31ドル台前半まで急速に下落したが、1.31ドル台は割り込むことはなく戻した格好。
総選挙に対するポンドの反応に関しては様々な見方が出ている。このところのポンド高で、ジョンソン首相の勝利を相場は十分に織り込んだとの見方や、まだ不十分との見方も出ている。ただ、共通した見方は、ポンドが上昇したとしてもその動きは長くは続かないという点。実際に市場は、英EU離脱に伴う具体的な動きをまだ完全には把握しておらず、先行き不透明感が強まる可能性や、ファンダメンタルズに焦点が戻った時に、英経済への影響も気掛かりではある。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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