ドル円は米雇用統計後の上げをほぼ失う=NY為替後半
NY時間の終盤に入ってドル円は戻り売りが続いており、108円台半ばまで下落。米雇用統計後の上げをほぼ失っている。きょうのNY為替市場はドル高・円高の展開の中、ドル円は上値の重い展開。朝方発表の米雇用統計が強い内容となったことで、ドル円は発表直後に買いが強まり108.90円付近まで上昇した。本日の200日線は108.85円付近に来ているが、その水準を一時回復。しかし、買いが一巡すると直ぐに戻り売りが強まり、109円及び200日線を回復できずに失速している。
米雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が26.6万人増と予想を大きく上回っている。前回分も上方修正され、失業率も3.5%に低下し、平均時給も前年比3.1%上昇と3%超の伸びを維持した。力強い雇用を示す数字と言えよう。市場の一部では景気後退への不安感が高まっているが、きょうの米雇用統計を見た限りでは、その懸念は後退しているものと思われ、米経済のファンダメンタルズは底堅さが続いている。
米株式市場でダウ平均は300ドル超の上げ幅となっているものの、ドル円は素直な反応を示していない。米中貿易協議に関心が集中する中、15日(日)に対中追加関税の期限を向かえ、そのイベントリスクを巡って来週は重要な週とも言える。その前にロングポジションを調整しておきたいといったニーズがドル円の上値では多いのかもしれない。目先の下値サポートは108.50円が意識される。
ユーロドルはNY時間に入って戻り売りに押され、1.10ドル台半ばに下落。21日線が1.1045ドル付近に来ているが、その水準に顔合わせしている。この日発表になった米雇用統計やミシガン大消費者信頼感指数が強い内容となったことで、FRBの追加利下げ期待が完全に後退しており、為替市場はドル買いの動きが優勢となっている。
1.11ドル台で上値が重かったユーロドルはストップを巻き込んで戻り売りが強まっている。もともとユーロ自体には買い材料はなく、この日発表の10月のドイツ鉱工業生産も予想外の大幅減少となり、ドイツ製造業の低迷を裏付ける数字となった。
来週は12日の英総選挙や15日の対中追加関税の期限を巡る動きなど政治関連のイベントリスクが多い中、ユーロはポンドやドルの動きに振り回される展開も予想される。12日にラガルド新ECB総裁のもとでの初のECB理事会が開催されるが、その日は英総選挙の投開票日でもあり、理事会自体への反応は限定的になる可能性も留意される。
ポンドドルも戻り売りが優勢となっており、一時1.31ドルちょうど付近まで下落する場面も見られた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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