ドル円に見切り売り強まる 米中協議に不透明感が出る中で米国債中心に何らかの調整か=NY為替前半
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となっており、ドル円は一時108.25円付近まで下落している。ドル円を下押しする直接的な材料は見当たらないが、米中貿易協議の行方に不透明感も出る中、米国債利回りの下げが止まらず、ドル円も上値の重い展開となっている模様。ただ、米株式市場は下げてはいるものの、小幅安に留まっており、リスク回避の雰囲気までは出ていない。米国債中心に何らかの調整の動きが出ているようで、ドル円を圧迫しているものと見られる。
ドル円は本日の下げで200日線を下放れ、21日線も割り込んでいる。更に108.50円を割り込んだことで短期のロング勢が見切り売りを出したようだ。
引き続き市場は米中貿易協議の行方に関心が集中しており、様々な報道に神経を尖らせている。最新の報道では、米国が中国に対して年間500億ドル相当の米農産物購入について、具体的な数値目標を示すよう求めているようだ。ただ、中国側は抵抗を示している。一方、中国側は段階的な関税撤廃の確約が必要としている。トランプ大統領はそれについては何も言及していない状況。
部分的合意への市場の期待感は依然として強いものの、協議の動向を見極めたい雰囲気も強まっている模様。
ユーロドルは買い戻しが膨らんでおり1.1020ドル近辺まで戻している。1.09ドル台に下落する場面も見られたが、ショートカバーも活発に入るようだ。
きょうはドイツの第3四半期のGDPが発表され、前期比0.1%のプラス成長となった。警戒されていたテクニカル的リセッションは回避された格好となっている。ただ、ユーロは発表直後こそ買いが見られたものの、直ぐに上値を抑えられていた。市場の関心がファンダメンタルズに向いていないことを印象付ける値動きでもあった。
警戒されていただけに予想外のプラス成長はポジティブ・サプライズとも思われるが、この好結果が逆にドイツの景気刺激策への期待を後退させている。現にドイツのショルツ財務相は、「ドイツ経済は危機にはなく、いまのところ景気対策は必要ない」と述べていた。
ポンドドルも買い戻しが優勢となり、1.28ドル台後半まで戻す展開。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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