英離脱協定合意も情勢はなお混沌 ドル円は戻り売り優勢に=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は戻り売りが優勢となり、108.50円近辺まで値を落とす場面も見られた。前日までは108.60円付近が強いサポートとなっていたが、その水準を一時ブレイクした格好。
英国とEUが離脱協定で合意し、ドル円も108.90円近辺まで上昇する場面が見られたものの、109円が再び壁となった。メイ英前首相の時と同様に、英議会では合意に反対が多く、19日(土)に開会する議会が批准するか不透明な情勢となっている。
ドル円はその動きを嫌気している面がある一方、英EU離脱協定の合意のニュースで掻き消されてしまった感もあるが、NY時間の朝方に9月の米住宅着工と米鉱工業生産が発表となっていたが予想を下回っていたこともドル円を圧迫しているものと思われる。
市場では米製造業への不安感が強まっているが、米鉱工業生産は予想以上の減少となり、米製造業の低迷を示している。今月のFOMCでの利下げ期待を追認する内容でもあり、ドル売りがドル円を圧迫した面もありそうだ。
ユーロドルは買い戻しが続き、きょうは一時1.1140ドル近辺まで上昇。100日線に顔合わせしている。ユーロ買いの材料はないものの、ドル売りの動きがユーロドルを押し上げている。ユーロに関してはポジティブな話は少ない。ドイツ政府はきょう、2020年の成長見通しを従来の1.5%から1.0%に下方修正し、今年についても0.5%を見込んでいる。ドイツ経済の見通しが暗くなる中、ECBの緩和長期化への観測も根強く、ユーロの上値を圧迫しているようだ。
ポンドは上下動。離脱協定合意でポンドドルは1.30ドル手前まで一時急上昇したものの、その後は急速に戻り売りに押される展開。離脱協定で合意も、その内容を巡って英議会の反発が強まっており、19日に開会される議会で承認されるか、情勢は混沌としている。議会承認には北アイルランド民主統一党(DUP)の支持が不可欠と言われていたが、DUPは支持しない意向を示していた。
議会を通過できなかった場合、ジョンソン英首相はEUに対して延期を要請することが法律で決まっているが、ユンケル欧州委員長は、「延期する必要はない」と述べていた。ただ、協議はするとしている。場合によっては総選挙や2回目の国民投票などの可能性も再浮上している。ただ、ポンドの反応は比較的落ち着いており、下値では買い戻しも見られている。いずれにしろ、合意なき離脱は回避されると楽観的に見ているのかもしれない。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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