ドル円は107円台を回復 米中協議控え懸念強まる=NY為替前半
きょうのNY為替市場でドル円は買い戻しが強まっており、107円台を回復している。米株式市場で一時300ドル超まで下落していたダウ平均が下げ渋っていることで、ドル円も買い戻しが出ている。
きょうは再び10日の米中貿易協議を控え懸念が強まっている。中国は農産品など部分的な合意を模索しているとも伝わる一方、米側は中国に対して産業への補助金廃止などを求めており、中国側は難色を示している。トランプ大統領はきのう、「私の望みは大きな取引だ」と述べ、部分的な合意には否定的な考えを示し、協議が進展するかは予断を許さない状況。
そのような中、米商務省が中国の監視カメラ大手や公安機関など28団体・企業を事実上の禁輸リストである「エンティティー・リスト」に追加した。中国政府によるウイグル族などイスラム系少数民族への弾圧に関与しているとした。
米国が中国の人権問題にも踏み出す動きも見られる中、10日の協議への楽観的な見方は後退している模様。
ドル円はリスク回避の円買いで一時106.80円近辺まで下落していたが、一方でドル買いの動きも見られ、ドル円は下値を支えられている状況。
一方、市場がリスク回避の雰囲気を強める中、ユーロドルは戻り売りに押されている展開が続き1.09ドル台半ばまで下げ幅を広げている。ロンドン時間には買いも見られ1.10ドルを再び試す展開が見られたものの、きょうも上値を抑えられている。21日線が1.0990ドル付近に来ており、ともに強い上値抵抗となっているようだ。 ユーロドルは今月に入ってリバウンドの動きも出ていたものの、現状からは下向きのトレンドに変化は出ていない。
ドイツ経済が不調で第3四半期のGDPがマイナス成長となり、テクニカル的リセッションに陥るとも見られている。そのような中、ドイツ政府のコメントが先ほど伝わり、以前予想していたよりもドイツ経済の低迷は長引いているとしながらも、リセッション入りは見込んでおらず、景気刺激策は必要ないとの見解を示していた。
きょうはポンドの売りが目立っており、ポンドドルは1.22ドルを割り込む動きが出ている。対円、ユーロでも下落しており、ポンド円は130.45円付近まで値を落とす動き。
ジョンソン英首相がメルケル独首相に対して、北アイルランドがEUの関税同盟内に留まることをEUが求めるならば、離脱を巡る合意は本質的に不可能だと伝えた。この動きに市場は再び合意なき離脱への懸念を強めている。
そのほか、市場からは英中銀の利下げ期待が高まっている模様。合意なき離脱はもちろん、離脱延期でも利下げの可能性は高いとの見方も聞かれる。
MINKABU PRESS 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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