米中関係の悪化懸念が円高誘う
米中関係の悪化懸念が円高誘う
パウエル議長は追加利下げ示唆も、直後の反応は限定的
その前に出た中国の米国への対抗関税
その後のトランプ大統領の中国への対抗措置発表などが重石
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《8/23 金曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 106.44 1.1080 117.94
高値 106.74 1.1153 118.17
安値 105.26 1.1052 117.26
終値 105.39 1.1144 117.49
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《8/23 金曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 20710.91 +82.90
DOW 25628.90 -623.34
S&P 2847.11 -75.84
Nasdaq 7751.77 -239.62
FTSE 7094.98 -33.20
DAX 11611.51 -135.53
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《8/23 金曜日の商品市場》
NY原油先物10月限(WTI)(終値)
1バレル=54.17(-1.18 -2.13%)
NY金先物12 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1537.60(+29.10 +1.93%)
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《8/23 金曜日に発表された主な経済指標》
【NZ】
小売売上高(第2四半期)7:45
結果 0.2%
予想 0.3% 前回 0.7%(前期比)
【日本】
全国消費者物価指数(7月)8:30
結果 0.5%
予想 0.6% 前回 0.7%(前年比)
結果 0.6%
予想 0.6% 前回 0.6%(生鮮食料品除くコア・前年比)
【シンガポール】
消費者物価指数(7月)14:00
結果 -0.4%
予想 -0.1% 前回 -0.2%(前月比)
結果 0.4%
予想 0.5% 前回 0.6%(前年比)
【カナダ】
小売売上高(6月)21:30
結果 0.0%
予想 -0.3% 前回 -0.2%(-0.1%から修正)(前月比)
結果 0.9%
予想 0.0% 前回 -0.4%(-0.3%から修正)(コア・前月比)
【米国】
新築住宅販売件数(7月)23:00
結果 63.5万件
予想 64.7万件 前回 72.8万件(64.6万件から修正)
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《8/23 金曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【NZ】
*オアNZ中銀総裁
将来の追加措置が必要となる可能性が低下した。
我々は必要であれば、何かをすることを控えない。
NZドルの低下もあり、我々は比較的競争力のある優位なポジションにいる。
世界経済の鈍化がNZに実際に与える影響を計ることができる。
11月までに状況を確認し、必要であれば緩和を継続する。
【ユーロ圏】
*独経済省報道官
リセッション状態には入っていない。
経済成長を高めるための適切な施策を用いるべき時。
*独政府報道官
ブレグジットのボールは英国側のコートにある。
EU委員会はブレグジットに関する交渉について、いつでも話し合う準備できている。
【米国】
*サマーズ元米財務長官
各国中銀は景気鈍化を阻止するための余力を持ち合わせていない。
需要を刺激するための新たなメカニズムを考え出す必要ある。
*ブラード・セントルイス連銀総裁
利下げがインフレ目標達成の助けとなろう。
米国の労働市場は引き続き良好。
世界的な製造業の不振が懸念材料。
FEDは利下げすべき、逆イールドはよろしくない。
貿易戦争は米国内よりも海外への影響大きい。
貿易戦争による海外への衝撃が米株式市場などに跳ね返ってくる。
金融市場にバブルの大きなリスクあるとは考えていない。
1998年のFEDの利下げが現在にとっても良いモデルとなろう。
金融政策でできることは限られており、政府債務モデルの再構築が必要に。
(CNBCとのインタビュー)
*メスター・クリーブランド連銀総裁
貿易の不透明感は経済への下方リスク。
中国の報復関税は不透明感を続けさせるだけ。
米経済は極めてしっかりとしている。
次回9月FOMCについてはまだ決めかねている。
米国の金利は欧州や中国よりも高水準であるべき状況。
賃金は上昇してきている。
景気鈍化のデータを待つ姿勢、遅きに失するおそれはない。
*カプラン・ダラス連銀総裁
金融政策は景気減速の原因ではない。
調整の必要はないと考えている。
米国債利回りの大きな動きは金融政策に反応したものではない。
景気の問題は、貿易の不透明感、移民などに起因したもの。
*パウエルFRB議長
経済は望ましい状況だが、著しいリスク迫る。
景気拡大の維持へ適切に行動する。
世界経済減速の追加証拠を確認した。
英EU離脱、香港、ドイツや中国の経済の弱さに言及。
年初以来、米経済の見通しは好ましい。
貿易問題の不透明感が世界経済の減速を誘発。
インフレは2%目標に接近しているようだ。
海外経済や市場、通商政策を注意深く監視。
7月FOMC以降の3週間で重要な出来事が続いた。
金融政策は貿易のルールブックを提供することはできない。
【中国】
*中国
米国製品750億ドル相当に報復関税へ。
5078品目の米国製品が対象に。
対抗措置は9月1日と12月15日に実施する。
関税率を5%から10%に引き上げる。
追加関税を米国製の自動車および部品にかける。
米国の一方的かつ保護主義的な措置に対抗。
米国産の大豆に5%の追加関税を課す。
米国産の原油に5%の輸入関税課す、9月1日発動へ。
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《本日予定されている主な経済指標》
【NZ】
貿易収支(7月)7:45
予想 -2.77億NZドル 前回 3.65億NZドル
【日本】
景気先行指数・改定値(6月)14:00
予想 N/A 前回 93.3
景気一致指数・改定値(6月)14:00
予想 N/A 前回 100.4
【シンガポール】
鉱工業生産(7月)14:00
予想 -1.7% 前回 1.2%(前月比)
予想 -5.8% 前回 -6.9%(前年比)
【ユーロ圏】
ドイツIfo景況感指数(8月)17:00
予想 95.5 前回 95.7
【香港】
貿易収支(7月)17:30
予想 -482億香港ドル 前回 -552億香港ドル
【米国】
耐久財受注・速報値(7月)21:30
予想 1.3% 前回 1.9%(前月比)
予想 0.1% 前回 1.0%(輸送除くコア・前月比)
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【東京市場】ドル円しっかりも値幅は限定的
ドル円は106円40銭近辺の朝の動きから106円60銭台まで上昇と、しっかりの動き。もっとも値幅は25銭と限定的。23時に予定されているジャクソンホールでのパウエル議長講演を控え、積極的な取引が手控えられている。
ユーロドルが1.1086から1.1060台までと、ユーロ安ドル高になるなど、ドルは全般に堅調も、総じて値幅は落ち着いたものに。
人民元売りの動きが一時広がった。ドル人民元は直近の水準を超える7.0985までと、7.10に迫る動きに。オフショア人民元は7.10を超える動きを見せている。もっとも上海総合がプラス圏で推移、香港ハンセン指数も強いなど、中国売りの動きではなく、元安の流れ。米中通商問題への警戒感が継続で、やや神経質な動きか。
NZドルがややしっかり。オア中銀総裁が今後の追加緩和の可能性を示しつつ、11月までの様子見を示したことで、売りに一服感。
【ロンドン市場】パウエル議長講演を控えて、ややドル高に
議長講演待ちでもみ合い。
ドル円は米債利回り上昇もあって若干上昇ムードで106円60銭台。
ユーロドルが1.1050台にドル高主導。
【NY市場】一気に105円台前半に
注目のパウエル議長講演は
著しいリスクが迫っていると追加利下げを示唆する発言があり
少しドル売りも、米株高の動きもあって、限定的。
しかし、市場は中国の対米対抗関税実施発表に反応。
中国政府は9月1日と12月15日の米国による対中関税第4弾に対して、
750億ドル相当の対抗関税の実施を発表。
トランプ大統領は午後にも対応策を発表と発言し
米中関係の悪化懸念が一気に強まった。
トランプ政権はすでに実施している2500億ドル分の買い勢について税率を25%から30%に。
第4弾の3000億ドルについて10%から15%へという対抗策をNY夕方に実際に発表。
米国企業の中国からの撤退を求めるとの発言も見られた。
ドル円は105円台前半、ユーロ円などクロス円の売りも見られたがドル売りが主導。。
ユーロドルは1.11台にしっかり乗せた。
<h2>【本日の見通し】リスク警戒感強まる</h2>
米中関係の悪化懸念が拡大。
改善の見込みが見えない状況だけに、リスク警戒が強まりそう。
米国と中国という世界経済を引っ張る大国間の緊張だけに
世界経済に大きなダウンサイドリスク。
ドル円は状況によっては相当な下方向への動きを覚悟する流れか。
相当荒っぽい動きになることも予想され、
突っ込んだ動きに要注意。
106円台をしっかり回復で一服感も
戻ったところでは売りが出る流れとなりそう。
輸出企業など実需筋の売り遅れなども気がかり。
<h2>【本日の戦略】戻り売り</h2>
突っ込んだ売りは荒っぽい切り返しも覚悟。
基本は戻り売りか。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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