ドル円は一時105円台に下落 米中対立への懸念と米大幅利下げ期待が圧迫=NY為替概況
きょうのNY為替市場はリスク回避の雰囲気が強まる中でドル円は一時105円台に下落。先週、トランプ大統領が追加の対中関税を発表したことで、市場の雰囲気は一気に悪化している。そのような中、きょうは人民元が下落しており、ドル・人民元は7元台に上昇した。市場では以前から、中国の外貨準備やキャピタルフライトなどに絡めて7元台は一つのメドとされてきた。
一連の動きに一旦後退していたFRBの追加利下げ期待が再び高まっておりドル売りを誘発しているほか、米株式市場でダウ平均が一時900ドル超下落するなどリスク回避の雰囲気が強まっており、円高の動きも見られる。二重の逆風がドル円を105円台に押し下げたようだ。
そのような中で市場の一部では、トランプ政権が為替介入を行うリスクが以前にも増して高まっている模様。先週、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は「為替介入は排除」とその見方を完全否定していた。しかし、トランプ大統領は以前から他国の通貨安誘導によるドル高に神経を尖らしている。即時の行動の可能性は低いと見られているが、米当局の間で議論されている可能性は高いと見られている。
先週のFOMCを経て追加利下げ期待が一旦後退していたものの再び復活している。CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは、0.25%の利下げが75%、そして、0.5%の大幅利下げの確率は25%まで高まっている。先週は0.5%利下げの確率はほぼゼロだった。
ユーロドルは買い戻しが優勢となり1.12ドル台に一時上昇。きょうの上げはリバウンド期待を高めている。1.1185ドル付近に来ている21日線を上回ってきており、更に6月下旬から先週までの下降波のフィボナッチ38.2%戻し(1.1175ドル付近)も上回っている。目先は上記フィボナッチの50%戻しが1.1220ドル付近にあり意識される。
ポンドドルも買い戻しが優勢となっており1.21ドル台半ばに上昇。東京時間にはリスク回避の円高でポンド円が下落し、ポンドドルも1.21ドルちょうど付近まで連れ安していた。
この日の英サービス業PMIが予想を上回ったこともサポートしている模様。製造業や建設業は依然として景気判断の分岐点である50を下回る動きが続いている。サービス業も50を割り込むかに思われたが、51.2と水準を維持していたことから安心感が広がったようだ。
ただ、合意なき離脱への懸念は根強い。日曜日のサンデーテレグラフで、ジョンソン首相のシニア・アドバイザーを勤めるカミングス氏が「議会が不信任案の投票に持ち込んでも合意なき離脱を止めることはできない」と述べていた。また、スラック首相報道官は「どのような状況であっても10月31日にEUを離脱する」と述べていた。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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