【NY市場】対中追加関税発表でドル円は下げ加速 ドル安・円高で二重の逆風
きょうのNY為替市場、前日からのドル売りが続き、ドル円は106.50円付近まで下げを加速した。トランプ大統領の対中追加関税の発表で、市場には再び米中対立への不透明が強まっており、リスク回避の雰囲気が強まった。米株に戻り売りが強まったほか、米国債利回りも低下する中でドル円も戻り売りが強まった。
今週のFOMCで一旦後退していたFRBの追加利下げへの期待が再び高まりドルの戻り売りが優勢となった半面、リスク回避の円買いも出ており、ドル円は二重の逆風にさらされている。日本が韓国への輸出規制を閣議決定したことも影響しているとの指摘も出ていた。
ドル円はきょうの下げで6月のサポート水準を割り込んだ。21日線を下放れる展開が加速し、6月下旬からのリバウンド相場は終了の気配が強まっている。早期に戻せないようであれば、心理的節目の105円を視野に入れる可能性も警戒されそうだ。
なお、朝方に米雇用統計が発表になっていたが、非農業部門雇用者数(NFP)は予想通りの内容だったものの、平均時給が予想を上回る伸びを示していた。発表直後はドル買いの反応も見られ、ドル円は107円台に戻す場面も見られたものの、米株式市場が下げて始まると直ぐに戻り売りに押されている。今回の米雇用統計は、今週のFOMCでのFRBの見方に変化を与える内容ではないと思われる。
一方、ユーロドルは買い戻しが続いており、1.11ドル台に再び上昇。ECBの追加緩和期待が高まる中で、ユーロの上値はなお重いものの、トランプ大統領の対中関税の追加措置発表で、為替市場はドル売りの反応を示しており、ユーロドルの買い戻しを誘っているようだ。きょうは一部報道で、「ECBは中銀預金金利の階層的な利下げは準備しているものの、量的緩和(QE)に関してはまだない」と伝わったこともユーロドルの買戻しをフォローしている模様。
ただ、本格的なリバウンド相場との期待は依然として小さく、このところの下げで過熱感も出ていたこともあり、値ごろ感からの自律反発の範囲との見方も根強い。
ポンドドルも買い戻し。ただ、ジョンソン首相が10月末のEU離脱に関して合意なき離脱の可能性を排除していない中、ポンドの上値は依然として重い。この日は7月の英建設業PMIが発表になっていた。指数は45.3と最低水準だった前回からは反転しているものの、依然として景気判断の分岐点である50は下回って推移している。発表元によると、EU離脱に絡んで不透明感が高まる中で、民間企業がプロジェクトを保留しているという。きのうは英中銀が四半期インフレ報告で今年の成長見通しを下方修正していたが、きょうの建設業PMIは、英EU離脱巡る政局の混乱が英実体経済に悪影響を及ぼし始めている可能性が示されている。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美