【ロンドン市場】米中貿易摩擦への警戒感で株安・円高の動き先行
9日のロンドン市場では、円買いが先行した。米中貿易摩擦への警戒感で欧州株や米株先物が大幅安となり、リスク警戒感が広がった。加えて、北朝鮮から飛翔体が発射されたとの報道も緊張感を広げた。ドル円は一時109.60近辺、ユーロ円は122.49近辺、ユーロドルは1.12台が重く1.1174レベルまで下押しされた。しかし、NY勢の参加を控えて円買いの動きは一服しており、ほぼロンドン朝方の水準へと戻してきている。そのなかでは、ポンドは引き続き軟調。英政府と労働党との協議からは得るものがみられず、ロンドン勢はポンド売りで入るパターンが続いている。きょうはコービン英労働党党首が、英政府からブレグジットに関する重要な提案はまだない、と不満を表明している。また、リスク回避の動きは新興国通貨を直撃しており、ロンドン市場ではトルコリラ安が進行した。対ドル、対円ともに昨年9月以来の安値水準となった。
ドル円は109円台後半での取引。米中貿易摩擦が高まることが警戒されており、中国側からは中国が技術移転を強要したことは決してない、中国はいかなる状況にも準備万端、と米国に対する報復措置を示唆した。加えて、北朝鮮から飛翔体が発射されたとの報道も緊張感を広げた。110円手前水準から一時109.60レベルまで下押しされ、3か月ぶりの円高水準となった。欧州株や米株先物はマイナス圏推移も、NY勢の参加を控えて下げは一服。
ユーロドルは1.11台後半での取引。朝方に1.12台に乗せたが、その後はユーロ円の下落とともに下押しされ、安値を1.1174レベルに広げた。その後は下げ渋りも1.11台後半からは離れていない。ユーロ円は123円台を割り込むと一時122.49レベルまで下落。その後は123円台手前まで戻している。主要経済指標の発表には欠けたが、スペインの3月鉱工業生産が予想を下回っており、生産面の回復の弱さが浮き彫りになっていた。
ポンドドルは1.29台後半での取引。朝方は1.3026レベルまで買われたが、その後はポンド円の下落とともに1.2975レベルまで下押しされた。その後は一時1.30台を回復も再び1.29台に押し戻されている。ポンド円は143円台前半から一時142.24レベルまで下落。その後の戻りは142円台後半までにとどまっている。対ユーロでもポンドは軟調。英政府と労働党との協議からは得るものがみられず、ロンドン勢はポンド売りで入るパターンが続いている。きょうはコービン英労働党党首が、英政府からブレグジットに関する重要な提案はまだない、と不満を表明している。ソンダース英中銀委員は、英国はブレグジットの影響で企業投資の伸びが2-3年間抑制されてきた、と分析している。
minkabu PRESS編集部 松木秀明