パウエル会見でドル買戻し強まる インフレ低下は一時的要因の可能性を指摘
きょうのNY為替市場、前半はこの日発表になった4月のISM製造業景気指数が予想を下回り、2016年10月以来の水準に低下したことから、ここ数日のドル売りに拍車がかかった。このところの米経済指標は好調な内容が相次いでいただけに、失望感が大きかった模様。
ただ、午後になって動きは一転した。FOMCの結果が発表され、政策金利は予想通りの据え置きとなったが、声明でインフレの表現が若干下方修正されている。これを受けドル売りが加速したが、一方、その後のパウエルFRB議長の会見ではインフレ低下は一時的要因の可能性を指摘したことから一転しドルは買い戻しが強まる展開となった。
ドル円は一時111.10円付近まで下げ幅を拡大し、200日線を下放れる展開が見られたが、パウエルFRB議長の会見を受けて111円台半ばまで戻している。ただ、200日線は下回って終えている。
きょうは110円台への下落が警戒される展開も見られたが、100日線が110.70円付近に来ており、目先の下値メドとして意識される。
ユーロドルは、前半に買い戻しが加速し1.1260ドル付近まで上昇し21日線を回復していた。しかし、パウエル会見を受けて一斉に戻り売りが入り1.11ドル台に値を落とた。きょうは21日線に跳ね返された格好となったが、今回のユーロドルのリバウンドが本物になるのか注目のポイントに差し掛かっている。一部からは1.13ドル台前半の水準を超えて上昇すれば、その可能性も高まるとの見方も出ているようだ。ちょうど100日線近辺にあたる。
ポンドも前半は買戻しが優勢となり、ポンドドルは1.31ドルちょうど付近まで上昇し21日線を回復した。パウエル会見後に伸び悩んだものの21日線は維持。
3月13日から4月25日の下降波のフィボナッチ38.2%戻しの水準が1.3065ドル付近に来ているが、きょうはその水準を一時回復していた。同50%戻しの1.3125付近が上値メドとして意識される中、きょうは伸び悩んだものの、テクニカル的には上値期待を高める動きも見られ始めている。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美