アイルランドに学べ

【著者】

内閣府は25日開催された政府の経済財政諮問会議で、国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の見通しを、2020年度の赤字幅は「経済再生ケース」で前回昨年7月試算5.5兆円から8.3兆円に拡大。低成長の「ベースラインケース」では前回の9.2兆円程度から11.3兆円程度に拡大となった。

18年度の目安「GDP比1%の赤字」も10%への消費増税延期の影響を踏まえるとして、事実上撤回する方向をにじませた。「20年度黒字化実現」の記述は「財政再建目標」に置き換えられた。

日本の税収は消費税3%を導入した翌年の1990年がピーク、財政赤字はその時から拡大を続けている。
(参照:財政状況の推移

消費税が景気低迷の要因となることは、政府も認めるところだ。また、景気が低迷すると「ベースラインケース」の確率が高まり、財政赤字が膨らむことも、承知の上だ。それなのに、消費減税や消費税廃止の議論がまったく出てこないのは、財政再建を放棄しているとしか思われない。財政赤字悪化の根本原因から目を背けるのが、1989年以降の一貫した日本政府の政策だ。

一方で、参加各国に強い財政規律を課しているユーロ圏で、掟破りの財政出動と大幅減税を行い、一時的には大赤字となりながらも、景気拡大と、財政黒字化を達成したアイルランドの政策は、もっと注目されていい。
(参照:Three charts show how tough things are for European banks

矢口 新

独自テクニカルで『相場のタイミングを捉える』 矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。