資源は枯渇しない。形を変えるだけ

【著者】

何年も前から、少なくとも私が相場を始めた1980年代初頭から、地球の資源は有限で、このままでは枯渇すると言われてきた。

3月30日付の米マーケットウォッチには、ゴールドマン・サックスが、世界にはそれぞれ約20年分の金、ダイアモンド、亜鉛の確認可採鉱量しかない。プラチナや銅、ニッケルの埋蔵量は約40年分か、それ以下しか残っていないと予測したと出ている。

参照:In 20 years, the world may run out of minable gold
http://www.marketwatch.com/story/in-20-years-the-world-may-run-out-of-minable-gold-2015-03-30 (英字サイトです)

先週には国連が、2030年には淡水の40%が不足すると発表した。

参照:World faces 40% water shortfall in 15 years: U.N.
http://www.marketwatch.com/story/world-faces-40-water-shortfall-in-15-years-un-2015-03-21 (英字サイトです)

また、人が1日に飲む水の量は2リットルに過ぎないが、穀物や野菜、果物の生産と、大量の飼料を消費しての肉の生産など食糧生産に、1人当たり毎日4000リットルの淡水を消費しているという試算もある。

1.人が1日に飲む水の量は2リットル。
  食糧を得るために消費する水の量は4,000リットル
2.1kgの肉を生産するために15,000リットルの水が必要
3.消費される水のほぼ90%が、食糧生産に用いられる
4.世界中の人が西洋風の食生活をすると、水の消費量は75%増える
5.動物由来の食糧生産の方がより多くの水を使う
6.毎年13億トンの食糧が無駄になっている(世界の生産の約3分の1だ)
7.2050年には、さらに20%多くの水が必要となる
8.年2,400立方キロメートルという「世界的な水の負債」

2020年までに食糧の浪費を(したがって水の無駄遣いも)50%減らすことが、ミラノ・プロトコルの目的のひとつ。

参照:あなたは毎日4,000リットルの水を消費している:水についての8の事柄
http://wired.jp/2015/03/30/10-water/

80年代に「時間の問題で」枯渇すると言われていたのは、原油だった。しかし、探索する毎に確認埋蔵量は増え続け、その一方で原油離れ、需要減の見通しすら出てきた。昨年来の原油価格の急落は、世界的な原油の供給過剰に、需要が追いつかないのが主要な要因だ。実際、米2014年の原油生産は前年比で日量120万バレル増加と、1900年以降で最大となり、870万バレルに達したとある。

資源

参照:These Charts Show Clearly Why Oil Prices Crashed
http://www.bloomberg.com/news/articles/2015-03-30/these-charts-show-clearly-why-oil-prices-crashed

いま、最も深刻で、代替物がないと言われているのは、水と食糧だ。しかし、ここで私がいつも疑問に感じるのは、消費された水や食糧がどこに行くのかという点だ。なぜなら、地球は閉ざされた空間だからだ。

子供向けの「天気の絵本」にも書いている。水は地球内を循環している。海や川の水が蒸発して雲となり、雨や雪となって降り注ぐ。降った水は土や動植物などに吸い込まれても、地下水となるもの以外は、結局、海に流れ着く。地下水は地球内部に溜まるだけで、枯渇するわけではない。他の資源も同じだ。形を変えるだけで、地球から出ていくわけではない。いつでも再利用できるのだ。

もう既に水不足となっている米カリフォルニア州は、海水の淡水化に動き出した。コストはかかるが、塩やミネラル、希少金属などが副産物として得られる。つまるところ、問題はコストなのだ。

コスト高で、水の消費が控えられ、食糧生産の無駄が減るのなら、むしろ人類にとっては喜ばしいことかもしれない。地球にあるものはいつまでも地球に留まってはいるが、それが生物にとって好ましい形態であるとは限らない。水の循環も、砂漠化と洪水との組み合わせでは、人が生活するには厳しいといえる。

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矢口 新

独自テクニカルで『相場のタイミングを捉える』 矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。