
高金利通貨の中で個人投資家に特に人気の高いメキシコペソ。
円安に沸いた2022年、メキシコペソ/円相場は実は米ドル/円を上回る上昇率を記録しました。
今回はFXトレードを行う上で有益なメキシコペソに関する情報や相場の見通しを、インターバンクディーラーとしての経験もある、MINKABU PRESS 外国為替情報の編集長山岡和雅が解説します。
※1:原則固定・例外あり。適用時間は午後5時~翌日午前0時です。国内外の休日、主要経済指標の発表時、天災地変、その他突発的事象の発生時などには、スプレッドがこれより拡大することがあります。実際の値は、取引画面で確認ください。
※2:セントラル短資FXクラブオフ
(https://www.club-off.com/nfd/apps/com/ffcom_contents.cfm?fname=bra/common/topics/about_coa/gaiyou/index.html)
まずメキシコの経済状況を押さえておきましょう。

日本とほぼ同じ1億2,601万人の人口を抱えるメキシコ。2021年のGDPランキングでは世界第16位と、経済規模は新興国の中でトップクラスです。 原油をはじめとする鉱物資源も豊富ですが、主要な産業は自動車及び同部品やコンピュータなどの電子製品です。
メキシコの経済構造は、一言でいうと米国べったりです。2020年のメキシコの輸出額全体の79.2%が米国向け。2位のカナダが2.7%なので約30倍の差があります。輸入額も米国が53.2%と半分以上を占め、2位中国の16.2%の3倍以上です。ちなみに日本は輸出で5位、輸入で4位と重要な地位を占めます。
他の国と同様にコロナに見舞われてから物価が高騰しましたが、インフレターゲットの対象である消費者物価指数前年比は昨年9月の8.7%をピークに、今年1月の7.91%まで若干鈍化しています。中央銀行の政策金利は11.0%と、相当な高水準となっています。それでいて昨年第4四半期のGDPは前年比+3.5%と好調。失業率は2.76%と現行方式となった2005年以降で最低水準となっています。こうした状況から、今後も堅調な経済成長が期待されます。
次に、為替相場に大きく影響する金融政策に関してご紹介しましょう。
メキシコ銀行(中央銀行)は、パンデミックを受けて政策金利を4%まで引き下げましたが、2021年6月に先進国より早いタイミングで利上げに転じました。その後も14会合連続で利上げし、2023年2月時点で11.0%となっています。
消費者物価指数が高止まりする中で、今年2月の会合で予想を超えて大幅に利上げするなど、これまで積極的に利上げを行ってきています。ただ、現在の政策金利の水準が消費者物価指数の上昇率を大きく超えていることもあり、今後の経済状況によっては一転して利下げを行う可能性があります。
経済的結びつきの強い米国の動向に反応しやすいため、今後、米FRBが利下げに転じると、なおさらメキシコ銀行も利下げに傾きそうですが、それでも高金利通貨としてのメキシコペソの魅力は残ると思われます。
物価高を背景とした米FRBのこれまでの利上げを受けて、米国の景気減速が深刻化すると、メキシコでは対米輸出が鈍ります。
1月には米雇用統計が驚異的に力強い数値を示しており、米国のインフレの動向には引き続き注意が必要です。しかし今後、米国のインフレが鎮静化に向かい、深刻な景気減速が避けられれば、メキシコにとってもかなりの好材料です。自動車などの輸出の拡大や、カンクンをはじめとするメキシコの世界的観光リゾート地への米国人観光客の増加が期待できるからです。

2023年は、エネルギー価格の下落もあり、世界的に物価の上昇ペースが緩やかになるとの見方が多いようです。メキシコでも物価の上昇ペースが緩やかになれば、インフレ率よりも高い水準にある政策金利は、引き下げが意識されるでしょう。
米国の利下げが2023年中に始まるようだと、メキシコ中銀も利下げを行う可能性があり、これはメキシコペソ売りの材料です。
ただ、米国との金利差を縮め過ぎると資本が米国に流出する懸念が高まりますので、政策金利の引き下げ幅は限定的なものにとどまると見ています。
また、世界的に物価上昇ペースが緩やかになると米国の個人消費の拡大が期待できますが、こちらはメキシコペソ買い要因なので、メキシコペソ安の懸念がある程度払拭されることが期待されます。
不透明要因はありますが、少なくとも対米ドルでのメキシコペソ安は長く続かないと見ています。対円ではもともと米ドル/円の動きに左右される部分が大きいので、それ次第となると見ています。ただ、メキシコペソ取引は為替差益以外にもスワップポイントでの収益が見込まれるため、中長期のメキシコペソ買いは期待できるのではないかと考えています。
メキシコペソは金利が高いこともあり、スワップポイントなどを意識して、主にメキシコペソ「買い」でFX取引をしている方も少なくないと思います。
メキシコペソの取引には、FXだけでなく機関投資家などのメキシコ国債購入を通じた中長期的なメキシコペソ買いもありますので、利回り動向はメキシコペソを取引する上で重要なポイントです。

セントラル短資FX 2023年4月の1日あたりの平均実績
政策金利決定の判断材料とされている物価動向、とくにインフレターゲット(3%)の対象である消費者物価指数の動向に注意しましょう。2023年の物価上昇ペースの鈍化は、市場はある程度織り込み済みですが、予想以上に鈍化が進むと要注意です。一方、予想の範囲内の上昇であれば、それは相場の安定性を脅かすほどではないと思われます。
その他には、国際商品価格、特に原油価格の動向に注意しましょう。メキシコの原油生産量は世界第11位(2020年)、中南米では第2位の産油国です。すでに主要産業は自動車やコンピュータなどに移行しており、輸出シェアを見ても自動車を含む機械製品の60%超に対して、原油輸出は4%弱しかありません(2020年時点)。それでも、国際価格の変化がメキシコ経済の収益変化に密接に結びつくこともあり、メキシコペソ相場に大きく影響します。
また、国際商品価格の動向は資源大国ブラジル、世界最大の銅生産国チリ、産油国コロンビアなど中南米各国の通貨全般の相場にも影響しますので、要注意です。
※1:原則固定・例外あり。適用時間は午後5時~翌日午前0時です。国内外の休日、主要経済指標の発表時、天災地変、その他突発的事象の発生時などには、スプレッドがこれより拡大することがあります。実際の値は、取引画面で確認ください。
※2:セントラル短資FXクラブオフ
(https://www.club-off.com/nfd/apps/com/ffcom_contents.cfm?fname=bra/common/topics/about_coa/gaiyou/index.html)
メキシコペソ/円の取引を行う場合、まずはメキシコペソ/円と米ドル/メキシコペソのチャートを並べてみてください。

出所:TradingView 期間:2021年4月~2023年2月
ここ1年のメキシコペソ/円の動きをみると、昨年10月末まで上昇した後、昨年末にかけて一転して下落しました。対米ドルは6月にいったん反発したものの、総じて米ドル安メキシコペソ高となっています。
メキシコペソ/円の昨年末にかけての下落は米ドル/円の急落によるものです。このように、まずは現状のメキシコペソ/円市場が、メキシコペソ主導で動いているのか、円主導で動いているのかをチャートで見極めましょう。
米ドル/円相場は2023年に入って円高が続いていますが、メキシコペソ/円は12月19日を安値にやや盛り返しています。一方向の対米ドルでの円高が進まない展開では、メキシコペソ/円に取引のチャンスがありそうです。
なお、メキシコペソ/円の中長期的な取引を行う際に大事なことは慌てないことです。12月ごろからのチャートを見ると、方向性はやや上でも、上下に振幅しながら流れが作られていることが伺えます。そうした中で安値を切り上げながら上がっている状況は上方向の動きが期待される展開なので、安値からサポートラインを引き、その手前あたりでじっくりと待つという動きが基本です。ターゲットは7円30銭前後です。
金利水準がかなり高いメキシコペソは、金利差を狙った投資をしやすい通貨です。しかし、経済が不安定となり相場の急落リスクが高まると、金利差狙いの投資家はすぐに逃げてしまいます。
かつてのリーマンショックや2020年の新型コロナ・パンデミックの際にメキシコペソをはじめとする新興国通貨の売りが進んだのは、そうしたリスクを警戒した動きによるものです。
新型コロナによる相場急落リスクはかなり小さくなってきています。しかし、インフレに対処すべくこれまで各国で行われてきた金融引き締めが予想以上に経済に影響し、世界的に景気後退に向かう兆しが表れた場合は、メキシコの状況がどうであれメキシコペソ安が進むと予想されますので、注意が必要です。
※1:原則固定・例外あり。適用時間は午後5時~翌日午前0時です。国内外の休日、主要経済指標の発表時、天災地変、その他突発的事象の発生時などには、スプレッドがこれより拡大することがあります。実際の値は、取引画面で確認ください。
※2:セントラル短資FXクラブオフ
(https://www.club-off.com/nfd/apps/com/ffcom_contents.cfm?fname=bra/common/topics/about_coa/gaiyou/index.html)
店頭外国為替証拠金取引においては、預託した証拠金の額を大きく上回る額の取引を行うことも可能ですが、外国為替相場や金利の変動等により、預託した証拠金の額を上回る損失が生じる可能性もあります。取引証拠金として、想定元本の4%(「法人口座」は法令等で規定する方法で算出した為替リスク想定比率)以上の額の必要証拠金を予め預託いただく必要があります。取引レート、両替レートおよびスワップポイントの売値と買値には差が生じます。取引手数料は無料、受渡手数料は1万通貨につき500円、顧客報告書発行手数料は無料(郵送の場合のみ、1件につき1,100円)です。取引に際しては、「店頭外国為替証拠金取引説明書」等の内容を十分にご理解いただき、ご自身の判断と責任においてお取組みください。
セントラル短資FX株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第278号
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